ぽっぺん日記@karashi.org
2006-09-09(Sat) [長年日記]
_ 谷甲州『パンドラ』
図書館で借りていたのをやっと読了。
ファースト・コンタクトものにも関わらず、センス・オブ・ワンダー分が非常に少ないが、前半でミリタリー分、後半で航宙分(別名、『航空宇宙軍』分)が補給できたので俺としては大満足(2ch・SF板で見掛けた「前半は覇者の戦塵、後半は航空宇宙軍史」という感想は言い得て妙)。
前半のミリタリー分については、民間の研究者である主人公に
戦争なら、やることは決まっている。敵の主力を包囲殲滅するか、指揮系統を破壊するかだ。
というセリフを言わせちゃったり、JAXAの宇宙飛行士である、もう一人の主人公が強襲揚陸艦と空母を識別しちゃったりと、ちと多過ぎな感もなきにしもあらずだけども、燃えられたので俺的には全然おK。
後半の航宙分は、人類滅亡の危機に揺れる世界の描写などは一切省かれ、ひたすら、軌道上での航宙機建造と事故処理を巡る日米・中露の対立、そしてパンドラとの邂逅・戦闘が描かれるあたりが、いかにも谷甲州。
ただ、残念なのはラスト。個人的には、ここでもう一歩踏み込んで、センス・オブ・ワンダー分を補給させて貰いたかった(読んだ人には分かるはず、たぶん)。
あと、雑多な感想を列挙。
- プリミティブって単語、これを読んで初めて知った。
- 朝倉は30〜35歳くらいと勝手に思っているのだが、年の割りに女性への接し方が中高生ぽくて、いかにも谷甲州(偏見)。「結婚を考えた時期もあったが、結局はなにごともないまま時間がすぎてしまった」って、なにごともないのに結婚って考えるんだろうか。
- 朝倉が20世紀末の生まれということなので、朝倉の年齢に対する推測が正しいとすると、舞台は2030年代だと思われるのだが、その割りにコンピュータ系の技術がローテクぽい。ログインがパスワードや証明書認証と思しき方法だったり(少なくとも生体認証は標準になってるんじゃね?)、強制終了した場合、システムが破壊される端末ってな描写があったりして(Windows95みたいだ)、そこらへんはなんだかなってな感じ。
- 航宙機の基本構造は、トラス構造にモジュールとエンジンを取り付けただけのようで、航空宇宙軍史の仮装巡洋艦ぽくて燃え。
- 猫の目のように変更される探査計画と、それに翻弄される現場の人間というのは、いかにもありそうな感じ。
- やっぱり中国が悪役気味。まぁ、実際、あんな状況になったら、あんな感じに行動しそうだけど。 > 中国
- 文中の専門用語のほとんどはなんの説明もなく、そのまま書かれている割りに、マニュピレータだけは毎回『(ロボット・アーム)』とわざわざカッコ付きで書かれているのは謎。
_ できごと
妻が出掛けているので、一人でスーパーに買い物に行く。
スーパーの隣りが図書館なので、ついでに本の返却(含む『パンドラ』)と新しい本の借り出しをしてきた。
借りてきたのは、
- 山田正紀『マヂック・オペラ』
- 山本弘『まだ見ぬ冬の悲しみも』
『マヂック・オペラ』は文庫落ちするのを待っていたので、こんなに早く読めると思わんかった。ビバ、図書館。
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