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ぽっぺん日記@karashi.org


2007-05-12(Sat) [長年日記]

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_ 軍犬ローマ号と共に―ビルマ狼兵団一兵士の戦い (光人社NF文庫)(志摩 不二雄) 軍犬ローマ号と共に―ビルマ狼兵団一兵士の戦い (光人社NF文庫)(志摩 不二雄)

『本の雑誌』の「ミミ中野のこれいただくわ」で紹介されていたので読んでみた。

第49師団『狼』の軍犬班の一員としてビルマ戦線に赴いた著者の従軍記なのだが、 まえがきに書いてある

私には祖国のためにという意思はなかった。ただ「私怨」を晴らすことと、「生きて還る」という執念に燃えていただけである。

を地で行っている、なんとも凄い本だった。

タイトルから「フランダースの犬」のような、軍用犬との種を越えた友情ストーリーを 想像すると思うが、実際は、そういう要素は皆無とまではいかないが、せいぜい1割程度。

あとは、戦争そっちのけで、私的制裁を受けた古年兵や上官に沸々と憎悪を煮えたぎらせ、 どう復讐するかを考えていたり、部隊とはぐれた際に出会った脱走兵3人組と一緒にゲリラを虐殺したり、 逃避行中に現地女性を買春した後、通報を怖れて手足を縛ってジャングルに投げ込んだりと、 なんとも唖然とさせられる話のオンパレードだ。

部隊とはぐれ、3日間の逃避行をする原因となったのが、連合軍の空襲下、憎っき古年兵の一人を 見付けた著者が復讐を遂げるため後先考えず、相棒の軍犬と共に追っ掛けていったことなのだが、 それなのにも関わらず、部隊になんとか復帰できた著者は上官や仲間を見た途端、 「なんでこいつらは、俺がいなくなった時に探さないんだ!」とまた憎しみをたぎらせる。

それって逆恨みじゃね? と思うのは、たぶん、俺だけじゃないはず。

なお、本書によると、末期のビルマ戦線では、

・ 後ほどの戦闘に備えて弾丸を無駄使いしてはならぬ。

・ 地上から攻撃した場合は有力陣地があるとみなされて、後日、連日のように猛爆撃を受ける恐れがある。

・ 被害を最小限に止めるためには無抵抗がよい。

・ つまり飛行機に対しては無抵抗主義をとる。

という理由から敵機に対しての反撃は禁じられていたとのこと。

日本軍の最貧具合が分かってなかなか興味深い書だった。

参考:

ビルマの戦い - Wikipedia

_ 北海道警察の冷たい夏 (講談社文庫)(曽我部 司) 北海道警察の冷たい夏 (講談社文庫)(曽我部 司)

北海道警察本部に所属する現職警部が覚醒剤密売や拳銃所持を行なっていたという「稲葉事件」の闇に迫ったルポルタージュ。

本書では、稲葉刑事の個人的犯罪として裁かれた事件の隠された真相に迫っているのだが、取材によって 明らかになる事実には慄然とさせられてしまう。

  • 拳銃の押収件数を増やすため(つまり、自分たちの点数稼ぎのため)、稲葉刑事の上司および道警上層部は、事件を捏造することを黙認
  • さらには、Sと呼ばれる「捜査協力者」が覚醒剤の密売や、盗難車をロシアマフィアに不正に輸出することについても黙認
  • 事件発覚の発端となったのは、命を狙われていると思った「捜査協力者」が警察に覚醒剤を持って駆け込んだことだが、その「捜査協力者」は拘置所にて変死。自殺と断定され、司法解剖もないまま処理された
  • 札幌地検も真相を把握しており、道警と共謀して、稲葉刑事の個人的な犯罪とする調書を作成

などについての記述を読むと、一体なにを信じればいいのか分からなくなる。

稲葉事件については、東直己の作品で、直接言及されていたり、この事件がモチーフになったと覚しき道警の汚職が描かれていたのだが、 あまりにも現実離れしているように思えて、すっかりフィクションだとばかり思い込んでいた。自分の不明を恥じるばかり。

機会があれば、本書の続編である白の真実―警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ(曽我部 司) 白の真実―警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ(曽我部 司)も読んでみたいと思う。

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