ぽっぺん日記@karashi.org
2007-08-11(Sat) [長年日記]
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獄中記(佐藤 優)
鈴木宗男事件に連座して、2002年に背任・偽計業務妨害で逮捕された佐藤優が、東京拘置所で拘置されていた512日間に書いた日記や書簡をまとめたのが本書。 502ページという大著だが、これでも本来の文量を1/5に圧縮したとのこと。
本書を読んで、びっくりしてしまうのが、その読書量と傾向。 宗教書や哲学書、ドイツ語やラテン語などの語学書など、個人的には「これからの人生で読むことは、あまりないだろうなぁ」と思うようなもの ばかりな上、非常に丹念に読み込んでいて、やっぱり頭の良い人は違うんだなぁというを今さらながら実感させられた。 告白しておくと、本書で取り上げられる人物のほぼ100%が知らない人ばかりでしたよ。
著者は、読書によって得た知識や自身の考えを基礎として、自分が逮捕される原因となった日露外交や国策捜査、これからの裁判についての戦略など様々な事柄について思索を重ねるのだが、その合間に覗く著者の人間臭い面がなかなか好感が持てる。
「ぬこ可愛いよぬこ」といった面や、大の運動嫌い──拘置所で許可されている運動時間の間も外に出ず独居房に篭りっきりで、わずかに外に出る時も、その時間のみ許される爪切りをするためという徹底ぶり──といった面もおかしいが、中でも一番おかしかったのが、保釈間際に吐露される、著者が雑居房を恐れていたという事実。その理由というのが、他の拘置者に「やらないか」と迫られることだったようで、あの佐藤優にも怖いものがあったんだと思うと、笑ってしまった(本人にしてみたら笑い事ではないだろうが)。
未決勾留者が房内で持てる書籍や雑誌の数は3冊以内、それに加えて、宗教経典や辞書、学習書などが特別の許可を受ければ、 追加として7冊まで所持できるそうだ。本書の中でも、書籍のやりくりの苦労について書かれているのだが、 読書が趣味*1の人間としては、同じ境遇に置かれた場合にどんな本を読むかということについては否応なしに考えてさせられてしまう。 アントニー・ビーヴァーの『スターリングラード 運命の攻囲戦』や『ベルリン陥落』あたりのぶ厚い戦史を読書ノートを取りながら読むというのが ぱっと思いつくところだが、溜まりに溜まったプログラム関係の積ん読を読むのもいいかも知れない。ただ、コンピュータが手元にないと、逆にストレスが溜まる感じもする。やっぱりプログラムは、手で覚える必要があるし。
個人的には、自分の教養のなさを痛感させられる、なかなかイタイ本だったのだが、他の佐藤優の著作を読む上では、非常に参考になる一冊といえるものと思う。
*1 まぁ、読書量は足元に及ばないけど。


まで頂ければ幸いです。
なぜ君は絶望と闘えたのか(門田 隆将)
007/ロシアから愛をこめて (創元推理文庫)(イアン フレミング)