ぽっぺん日記@karashi.org
2007-11-11(Sun) [長年日記]
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挑発者(東 直己)
畝原シリーズ最新作。 と言っても、実は6月に出版されていたのに、今まで気付かなかった。
本作では、畝原は、依頼により論破したインチキ・スピリチュアル集団*1の報復に巻き込まれると共に、 キャバクラ嬢を対象にした美人コンテスト出演者の身辺調査と、主婦の依頼による夫の素行調査に関わることになる。 エピソードの数が一冊に詰め込むのには些か多すぎて、消化不良気味な面もあるのだが、面白さはあいかわらずで一気読み。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアやダン・シモンズ*2といったSF作家の名前が登場したり、畝原と貴がセキュリティ・トークン(ジャパンネットバンクに使われているヤツね)の仕組みを推察したりと、本筋とはあまり関係のない(前者はちょっと関係がある)サイドストーリーも楽しかった。
ただ、前作『墜落』でも感じたことだが、畝原が再婚して家庭を持ったせいか、どうしてもヌルい印象がしてしまうのも事実。 畝原夫妻の養女となった、過酷な生い立ちを持つ幸恵の成長が見られるハートウォーミングな展開は、これはこれで悪くないのだが。
なお、ススキノ探偵シリーズに登場する新聞記者・松尾が、新聞記者時代に、畝原の部下だったということも、さらっと語られているので、将来、松尾が登場することがあるかも知れない。
次回作にも期待したい。
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戦艦大和―生還者たちの証言から (岩波新書 新赤版 1088)(栗原 俊雄)
昨今の「大和」ブームにより、戦艦「大和」を扱った書籍が色々と出版されている。 「大和」の誕生から沈没までの三年四ヶ月に渡る戦歴とともに、生き残った「大和」乗組員や遺族の証言を集めて構成されているのが本書。
戦歴については、多少戦史を知っている読者から見ると、それほど目新しいこと内容ではないと思われるが、要領良くまとめてあり、入門者にもオススメできる内容となっている。少なくとも、「大和」特攻が強要されたものであり、いわゆる「特攻作戦」とは一線を画するものであること、また、作戦がいかに無責任かつ思い付きの上で立案されたことを知ることは、有意義であるはずだ。
インタビューについては、ページ数の都合からか、ダイジェスト形式になっているところに少し物足りなさを感じるが、沖縄特攻に関する生還者と戦没者遺族の捉え方の違いや、レイテ海戦における「謎の反転」は正しかったと考える元乗組員の声、レイテ海戦で漂流者を高角砲や機銃で射ったという証言など、貴重なものが数多く収録されている(公平を期すために書いておくと、米軍機も大和沈没時に漂流者を銃撃している)。
国民学校の教員だった時に徴兵された「大和」の元高角砲員へのインタビューでは、著者は「教壇に立っていたのに、人を殺すことに抵抗はなかったのか」と尋ねており、それへの返答が
「やれなければこっちがやられるんですから。まあ海軍は軍艦や飛行機が相手で、人を直接狙うわけじゃないから。その点、陸軍より良かった」(p.56)
という、『戦争における人殺しの心理学』に書かれていた内容──「敵との間に航空機や戦車、艦船などの機械が入れば、殺人に対する心理的抵抗は小さくなる」──を裏付けるものであることが、非常に興味深かった。


まで頂ければ幸いです。
英国太平記―セントアンドリューズの歌(小林 正典)
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ハチはなぜ大量死したのか(ローワン・ジェイコブセン/中里 京子)