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2007-11-18(Sun) [長年日記]
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国語辞書 誰も知らない出生の秘密(石山 茂利夫)
「辞書は無謬である」というのは、大抵の人が無意識に信じてしまっていることだと思うのだが、国語辞書に対するそんな信仰に似た思いを打ち砕くのが本書。
著者は綿密な取材により、国語辞書の裏に隠れた様々な事情や、作成に関する人間模様を浮き彫りにしている。 辞書の表記内容はもちろんのこと、目次や用例、序文などから、疑問点を見つけ出す著者の手腕は見事で、「辞書探偵」とでも呼びたくなる活躍ぶりだ。
本書で語られるエピソードは以下のようもの。
- 『広辞林」における出版社と辞書編者の対立
- 出版社によって全面的に改稿された『広辞苑』の原稿
- 語数を増やすことに全力を注ぐはずが常識の辞書の世界で、逆に9000語以上を減らした辞書
- 過大どころか過少に謳われていた辞書の収録語数
- 本来、正字主義であるはずの辞書に新字体が使われていたという事実
それぞれの詳しい内容は本書に譲るが、読めば、こんなにも辞書には表沙汰になっていないことがあったのかと、驚くこと請け合いなものばかりだ。
個人的には、編者による「序文」と出版社による「後記」の間で対立した内容になっているという『広辞苑』のエピソードがなんとも可笑しかった。
『広辞林』を「コージ林」、『広辞苑』を「コージ苑」(相原コージの作品みたいだ)等と表記するあたりに違和感を覚えなくもないが、 *1 「国語辞書を作っているのは人間であり、人間は間違う。それゆえ国語辞書が無謬であるということはありえない」という当たり前だが、普段、意識することのない事実を改めて教えてくれる好著だ。
*1 著者によれば「辞書の名はどれも似ていて識別が難しい。そこで本書では『コージ林』『新潮コクゴ』『レイカイ』など視覚に訴える表記を用いた(p.7)」とのことだが、個人的には漢字で表記した方が判別しやすいと思う。
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