トップ «前の日記(2007-12-14(Fri)) 最新 次の日記(2007-12-16(Sun))» 編集

ぽっぺん日記@karashi.org


2007-12-15(Sat) [長年日記]

_ 例えばイランという国―8人のイランの人々との出会い(奥 圭三) 例えばイランという国―8人のイランの人々との出会い(奥 圭三)

9・11直前にイランを旅行した著者による旅行記が本書。

いまだ未解決の日本人学生誘拐事件や核開発疑惑など、なにかとネガティブなイメージが付きまとうイランであるが、ばりばりの親日家ばかりというイラン国民の姿が描き出されていて、興味深い一冊だった。

この手の旅行記では、現地の人々との触れ合いがあると、どうしてもその国に肩入れしてしまう傾向があるのだが(それが日本人の美徳とも言えるのだが)、著者は、イラン革命までアメリカを主とする列強諸国に支配されし続けたがゆえの「アメリカこそ最も大きなテロリズム」というイランの人々の生の声を伝える一方で、イラン政府による圧政も浮き彫りにしていて、なかなかバランス感覚に優れていると言えるのではないかと思う。

著者のユーモア溢れる筆致も読んでいて楽しい。 行き当たりばったり気味の著者の行動には、少しヒヤヒヤしてしまうが、その行動力があるからこそ、魅力的な旅行記が書けるのだろう。紹介される人々の中でも、特に、真面目な態度で、執拗に著者の初体験を聞き出そうとする教師がツボで、思わず吹き出しそうになってしまった。

最近、個人的によく読む佐藤優氏の著作には、日本外交はイランよりもイスラエルに軸を移すべきだ、との提言が多く書かれているが、「日本を尊敬している」というイランの人々の声を知ると、心情的にそれも難しいように思う。 西側諸国の中でもトップクラスと言えるほどイランの人々に信頼されている日本だからこそ出来る外交──例えば、アメリカとの仲介役など──があるのではないか。そんなことを読んでいて思った。

[]
本日のPingbacks(全0件)

トップ «前の日記(2007-12-14(Fri)) 最新 次の日記(2007-12-16(Sun))» 編集