ぽっぺん日記@karashi.org
2007-12-22(Sat) [長年日記]
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THE BIG YEAR 小鳥たちと男たちの狂想曲(マーク オブマシック)
日常生活を捨て、1年間に渡り、北米──正確には「メキシコ国境以北のアメリカ合衆国およびカナダ、それに海岸から320キロの海域」(p.101)──を駆け回り、見付けた鳥の種数をただひたすら数え、その総数(自己申告)を競い合う。
バード・ウォッチャー(本書ではバーダー──探鳥家と呼ばれている)ならぬ身には冗談にしか思えないが、アメリカでは実際に存在する競技らしい。
「ザ・ビッグイヤー」と呼ばれるその競技の中でも、「近年まれにみる大レースであり、おそらくは最悪のレースとなった」(p.20)1998年北米ビックイヤー探鳥コンテンストについてのノンフィクションが本書。
読んでみたらメチャクチャ面白くて一気読み。 鳥(時によっては1羽)を見るためだけに、外洋航海の船で盛大に吐きつつ双眼鏡を握るわ、荒れ狂う天候のアッツ島*1に悪性の伝染病に罹りつつ5週間も滞在するわ、冬の悪天候のロッキー山脈に命懸けでヘリコプターを飛ばすわで、金と時間を遣い方が物凄い。こいつら本当にイカレてますよ(注:誉め言葉)。
98年度ビッグイヤー優勝者候補は下記の三人。
- 97年度のビッグイヤー優勝者であり、史上初の二冠を狙うサンディ・コミト
- 大企業重役から引退したばかりのアル・レヴァンティン
- 原子炉制御ソフトのプログラマであり、Y2K(1998年であることをお忘れなく!)対策の修正コードをフルタイムで書きつつ、鳥を追うグレッグ・ミラー
勝つのはどいつだ? 実際に手に取って確かめてください。
ちなみに、笑える他にも、『Birds of America』で出版して鳥類画家として一躍有名になったオーデュボンが、実は1枚の絵を画くために何十羽もの鳥を撃ち落とし、その中でもきれいなものを選んで、死骸にワイヤを通して形を整えたものを画いた、なんて話も書かれていてタメになる一冊でもありました。オススメ。
*1 太平洋戦争時に日本軍が占領した島。
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探偵、暁に走る (ハヤカワ・ミステリワールド)(東 直己)
地下鉄で乗客とトラブルになりかけていたところをとりなしたのがきっかけで、〈俺〉はイラストレイタ―の近藤と飲み友だちになった。その近藤が、深夜のさびれかけた商店街で何者かに刺されて死んだ。彼は誰に、なぜ殺されたのか? 友の無念を晴らすべく、〈俺〉は一人で調査を開始する。やがて事件の背後に、振り込め詐欺グループ、得体の知れぬ産廃業者らの存在が……札幌の街を、孤高の〈ススキノ探偵〉がいく。 ──探偵、暁に走る:ハヤカワ・オンラインより
ススキノ便利屋シリーズ最新刊。
512ページという長篇だが、めちゃくちゃ面白く、夜更しして読んでしまった。おかげで今日は眠いのだが、著者のぐいぐい読ませる筆力は流石だなぁと感心した次第。
先月読んだ『挑発者』は、詰め込みすぎの感があって消化不良気味だったのだが、本書では、ストーリー展開が「友人を殺した犯人を追う」というシンプルな軸に絞られていて、スッキリ。
松尾や高田、桐原、相田といったお馴染の顔触れの他に、『ライト・グッバイ』に登場した、イタリヤ料理店オーナーの華(〈俺〉の恋人になってる!)や元陸自レンジャーで現ニューハーフのアンジェラ、『駆けてきた少女』のハッカーの金沢や気功師(?)の濱谷のおばちゃんなどなど、これまでに登場した面々も出てきて、非常に楽しめた。
東直己作品はこれが初めて、という人にはちょっとオススメできかねるが、東ファンであれば間違いなく面白い一冊。
榊原健三シリーズで語られた話が作中でちょろっと出てきたので思ったのだが、畝原と榊原のクロスオーバーなんて作品はどうだろう。まあ、両名ともお世辞にも明るいとは言い難い性格なので、全体的に暗い雰囲気になりそうだけども。


まで頂ければ幸いです。
叛逆としての科学―本を語り、文化を読む22章(フリーマン・ダイソン)
ゲバルト時代 SINCE1966-1973 あるヘタレ過激派活動家の青春(中野正夫)