ぽっぺん日記@karashi.org
2007-12-25(Tue) [長年日記]
_
カラスヤサトシ (アフタヌーンKC (425))(カラスヤ サトシ)
講談社社様より本が好き!経由で献本して頂いた。講談社様および本が好き!プロジェクトに感謝致します。
クールな男であれば、友人や同僚はもちろんのこと、家族にも知られたくない奇行の一つや二つは持っているものであるが(当然、クールな男を目指す私にもある。書けないが)、 なかなかカミングアウトできない、自身の奇行をネタにしたカラスヤサトシ氏の四コマギャグ漫画集(全279本所収)が本書。 メチャクチャ面白くて、家人に引かれつつ、ぐふぐふ笑いながら読了した。
三十路に入っていながら、ガチャポンの仮○ライダー・フィギュアを一人で対戦させて遊んでいたり、
アダルトビデオの女優が感極まって泣き出すインタビュー・シーンばかりを編集して泣いてみたり、
店のレジでどうお釣りを受け取っていいか分からず、店員の娘の手からむしり取ろうとして叫ばれたり、
子供が生まれた友人に、思わず『命名「ハム太郎」!』というメールを送ってしまい、その失礼さに気付いて慌ててみたり、
隣りの家の飼い犬の日常を観察しながら、自分の方が犬よりもっと暇だと気付いたりみたりと、
作者のダメなクールな男っぷりをたっぷりと堪能させて貰った。
特に作者のクールさが際立っているのが、飲み会の帰りに、密かに好きな女性とタクシーで一緒に帰った時のエピソード。すげーチャンスじゃんというシチュエーションにも関わらず、カラスヤ氏は酒酔いと車酔いでいきなり嘔吐!! 嫌々な態度を表しつつ、仕方なく彼を介抱する彼女に対して、服の前をゲロでベチョベチョにしながら、カラスヤ氏が言い放った男気溢れる一言がコレ!
「大丈夫……吐いてないから!」
超クールすぎて、飛び跳ねたくなりましたよ。イェーイ。 ちなみに、その三日後に彼女に告白したが、見事に玉砕したのこと。カラスヤ氏に幸あれ!
巻末には、作者と担当編集者T田氏との心が寒くなる対談も収録されており、これだけ笑えて590円(税込)という値段は非常に安いのではないかと思う。
笑う門には福来たると言うが、年末に良いものを読まさせて頂いた。 第2巻も発売されているということなので、さっそく購入したいと思う。
なお、カラスヤ氏が民家の門柱脇に立った小さな御幣を気味悪がる四コマがあるのだが、あれは氏神様に一年間の無病息災を祈って、大晦日に立てる御幣だったりする(実は、自宅でもやっていて、うちでは割り箸で作っている)。 気味悪がるような代物ではないので、誰かカラスヤ氏と面識のある方は教えてあげてください。
- カラスヤ サトシ
- 講談社
- 590円
書評/サブカルチャー
_
ラヴクラフト全集 別巻下 (9) (創元推理文庫 F ラ 1-9)(H.P.ラヴクラフト)
東京創元社様より本が好き!経由で献本して頂いた。 東京創元社様および本が好き!プロジェクトに感謝致します。
ラヴクラフトが手掛けた添削・補作を収めた『ラヴクラフト全集 別巻』上下二冊のうち下巻が本書(ちなみに、上巻の読書感想はこちら)。
上巻と同様、玉石混淆といった感じは拭えないが、こちらの方が書かれた年代が新しい分、添削・補作をしたラヴクラフトの腕が上がったのか、面白い作品が多かった。
個人的には、青心社の『クトゥルー』シリーズで既読ではあるが、蝋人形館に潜む旧支配者ラーン=テゴスの恐怖を描いた「博物館の恐怖」、『ウルトラマンティガ』にも最後の邪神として登場した旧支配者ガタノトーアのデビュー作「永劫より」の面白さが再確認できたのことが収穫(どちらもH・ヒールド作)。
「アロンゾウ・タイパーの日記」(W・ラムリイ作)についても、「日記なんか書いてないで、どうにか逃げろよ!」とツッコミを入れたくなるラストが「あー、そうそう、こんな感じだった」と懐しく読んだ。
全体的に悪くない印象の一冊なのだが、苦言を呈したいのが、「程度の多少にかかわらず、ラヴクラフトの手の入った」(本書紹介文より)作品を収めると謳っているにも関わらず、紙幅の都合と「改訳する必要のなかった」(p.363)という判断から『憤丘の怪』(ズィーリア・ビショップ)が割愛されているという点。率直に言って、これによって別巻二冊の意義を大きく損なわれていると言わざるを得ない。
巻末に収録されている「作品解題」によれば、訳者は訳語の表記について、慣用表記を「気楽にローマ字読みするという悪習に堪えきれなく」なり、「10年くらいまえから厳格に原音表記に」徹することにしたそうである(p.367)。 作者なりのこだわりがあることについては理解するが、ただ、「シャベル」を「シャヴェル」と表記するのはどうかと個人的には思う(一瞬、意味が分からなかった)。少なくとも、既に日本語に定着しているものについては、訳者のこだわりよりも読み手のリーダビリティを優先するべきではないだろうか。
上記に関連して、表記についても少し。
数々の表記があるCthulhuについて、本書では「クルウルウ」としている。私自身は「どうせ、人間には発音できない名前なので、なんでもいい」というスタンスなので、それ自体には特に異論はないのだが*1、訳者には、前掲の訳語と同様、強いこだわりがあるようだ。 「クリトルリトル」という訳については「クリュトゥルリュトゥル」もしくは単純化して「クリュトルリュトル」が正しいとしているし、「クトゥルフ」や「クスルフ」という表記は「正確な発音を逸脱したもの」と指摘している(p.380)。
前者については、長らく絶版状態にあり最近復刊した『新編真ク・リトル・リトル神話大系』に、後者についてはエンターブレインおよび新紀元社の『クトゥルフ神話TRPG』シリーズに喧嘩を売っているようでおかしかった。
既に、青心社の『クトゥルー』シリーズや国書刊行会の『ク・リトル・リトル神話大系』シリーズで収録作品を読んでいる人にはおすすめしにくい別巻二冊であるが、ラヴクラフト入門者であれば、読む価値がある二冊ではないかと思う。 筋金入りのラヴクラフト・マニアについては……まあ、書くまでもないだろう。
新編真ク・リトル・リトル神話大系 1 (1)
国書刊行会
¥ 1,575
クトゥルフ神話TRPG (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
エンターブレイン
¥ 6,090
- H.P.ラヴクラフト、大瀧 啓裕
- 東京創元社
- 882円
書評/ミステリ・サスペンス
*1 ただ、好みを言えば、RPGの影響もあって「クトゥルフ」が一番しっくりくる。





まで頂ければ幸いです。
ポドロ島 (KAWADE MYSTERY)(L.P.ハートリー)
最高の銀行強盗のための47ヶ条 (創元推理文庫 M ク 14-1)(トロイ・クック)
異郷日記(西江 雅之)
赤めだか(立川 談春)
ハロウィーンに完璧なカボチャ (創元推理文庫 (Mメ2-3))(レスリー・メイヤー/高田 惠子)