ぽっぺん日記@karashi.org
2008-01-01(Tue) [長年日記] この日を編集
_ あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします。
_ 今日のできごと
- 6時前に起床して、雑煮を作る。*1
- 雑煮とおせちを食べて、お屠蘇を飲んでから、近くの神社に初詣に出掛ける。
- 終了後、近所の新年会に出席。
- へべれけになって帰宅して、昼飯を食べた後、うつらうつらしながら、ブリンの『キルン・ピープル』を読む。
- 夕飯を食べた後、早めに風呂に入って、テレビを見る。←今ココ
*1 我が家では、三が日の雑煮は、男が作ることになっている。
_
キルン・ピープル 上 (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19) (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19)(デイヴィッド・ブリン)
そんな訳で、新年早々読み終えた本がこれ。
ゴーレムという、言ってみれば、『パーマン』に登場するコピーロボット(ただし、寿命は一日限り)が一般人にも浸透した未来が舞台のSF。ゴーレムは、肉体労働ならグリーン、高度な作業ならグレー、もっと高度な知的作業ならエボニー、イヤラしいことならホワイトという感じで、用途ごと色分けしてある。ユーザは、一日のはじまりに複数体のゴーレムを「焼いて」仕事に就かせ、ご主人様はもっとクリエイティブなこと(運動やら趣味やら)に時間をかける。一日の終わりには、ゴーレムがユーザのもとに帰り、記憶を統合する。
主人公は、そんな世界で、複数のゴーレムを操り探偵稼業を営む男。彼がゴーレムを誘拐して劣化コピーをする業者*1を摘発したことから壮大な陰謀が渦巻く大事件に巻き込まれる、というストーリー。
変な設定がなかなか楽しいSFだった。ただ、いかんせん長すぎ! 上下巻で1000ページを超えているのだが、ストーリーが行ったり来たりし過ぎで、1/2〜2/3くらいに削れば傑作になったんじゃね? という気がする。
まぁ、SF者であれば、読んで楽しい本ではないかと思う。
キルン・ピープル 上 (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19) (ハヤカワ文庫 SF フ 4-19)
早川書房
¥ 1,008
キルン・ピープル 下 (ハヤカワ文庫 SF フ 4-20) (ハヤカワ文庫 SF フ 4-20)
早川書房
¥ 1,008
*1 『攻殻機動隊』にも似たような話があったね。
2008-01-02(Wed) [長年日記] この日を編集
_ 今日のできごと
- 今日も6時前に起床して、雑煮を作る。
- 午前中は、掃除をしてから読書。『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』を読み終えた。
- 昼を近所の夢庵で食べてから帰宅。
- 怠けてばかりじゃ太ってしまう! ということで、買い物がてらぶらぶらと歩く。
- 喫茶店に寄って、コーヒーを飲む。
- 帰宅して、夕飯を食べて、テレビを見る。
- blogでも読もうかと思ったんだけど、PCを立ち上げるのが面倒になったので、そのまま寝床へ。
- 就寝前に『コーヒーの真実』を読み終えた。
生産的なことはほとんどしていない一日だった。
2008-01-03(Thu) [長年日記] この日を編集
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コーヒーの真実―世界中を虜にした嗜好品の歴史と現在(アントニー・ワイルド)
長年コーヒー取引に携わってきた著者が、コーヒーの歴史とともに、コーヒー栽培農家が搾取される現実を浮き彫りにしているノンフィクション。コーヒー好きとしては、複雑な心境になってしまう一冊だった。
本書によれば、グローバリゼーションが進んだ結果として生じたコーヒー豆の価格破壊により、コーヒー1杯につき農民が受けとる利益はわずか1セント(それも寛大に見積って)になっているという。 当然、それだけの利益で生活が成り立つ訳もなく、農民は貧困にあえぐこととなる。 この構図を、著者は宗主国が多国籍企業に変わっただけの植民地化だと指摘している。
じゃあ、農民に市場価格での買い取りを保証するフェアトレード(公平貿易)のコーヒー豆を買えばいいんじゃね? という話になるが、それもフェアではない価格で買い上げられた豆を売る企業の免罪符として使われる可能性があり、完璧な解決手段とは言えない。 実に根の深い問題なのだ。
本書では、コーヒーを扱う企業の誉められない数々の戦略──カフェインの副作用を低く発表するよう研究機関に圧力を掛ける等──が明らかにされているが、その中でもインスタントコーヒーについてのくだりが、一日3杯以上、場合によっては10杯近くのインスタントコーヒーを飲む身としては非常に興味深かった。
著者によれば、インスタント・コーヒーとコーヒーの共通点は、
どちらもコーヒーという言葉を用いて表現されることだ。それ以外は、いかなる類似も大部分は偶然にすぎない。(p.211)
とのこと。
インスタント・コーヒーのメーカーは、コーヒーらしさを出すために、様々な「ごまかし」(良く言えば、「工夫」)を加えている。 本物のコーヒーに比べても高い比率のカフェインを加えているのもそのひとつ。 その他、消費者の無意識を刺激するため、インスタント・コーヒーの見た目を粉挽コーヒーの見た目と似せているし、インスタント・コーヒーの瓶の上部に、挽いたコーヒーのアロマに似たものを注入している。 インスタント・コーヒーの封を切った時に漂い出す香りに、「やっぱり、新しいコーヒーはいいなぁ」なんてことを思ったことがあるので、まんまと騙された訳だ。
さらに、本書はコーヒーの歴史にも全323ページのうちの半分近くを当てており、ただの批判本にはない深みを与えている。
コーヒーが日本の禅宗の成立にも影響を与えたというイスラム教スーフィー派の儀式に用いられたという逸話や、イギリスでの啓蒙運動の発展の場となったコーヒー・ハウス*1、アメリカで大々的にコーヒーが飲まれることの原因となったボストン茶会事件、チコリコーヒーは元々、ナポレオンが発した大陸封鎖令の時に代用コーヒーとして考案された、などなど、非常に面白いエピソードが満載だ。
重いテーマなだけに、おもしろおかしい語り口に代表されるエンタメさはあまりないが、コーヒー好きであれば、読んで損のない一冊と言える本だろう。
*1 ちなみに、イギリスと言えば紅茶だが、紅茶が習慣的に飲まれるようになるまでは、紅茶よりコーヒーの方が飲まれたとのこと。
_ 今日のできごと
- 今日も6時前に起きて雑煮作り。三が日も終わりなので、今年は今日で最後。
- 午前中は仕事をしたり。
- 午後は親戚に挨拶をしに行った。
- 夕飯を食べた後、ローマ帝国のテレビ番組を見たりしながら、だらだら過ごす。
- 明日の仕事初めにそなえて、もう寝ようかなと思う。←今ここ。
以上で、正月三が日、終了ー。
2008-01-04(Fri) [長年日記] この日を編集
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仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本(米光 一成)
『ぷよぷよ』を生み出したゲームディレクターにして、『本の雑誌』で書評を書いていた(俺としてはこちらの方が重要)米光一成氏によるプロジェクト本。 熟読しても1時間程度で読み終えてしまう全125ページという薄さながら、その内容は濃く、ちょっと感動してしまう力作だ。
読者を勇者に見立てたRPG攻略本という体裁は、敷居を下げる意味では大成功だ。 ただ、kdmsnrさんも指摘されている通り、内容に効果的に使われているかと言えば、若干物足りない面もあるのだが、まあ、そこら辺はご愛嬌。
ページ数は少なくとも、本書で語られる範囲は広い。アイデアを広げるための「冒険の地図」(プロジェクト・マップ)の作り方から始まり、王様(上司)をどうやって味方につけるか、ミーティングの方法、仲間(メンバー)の探し方や個性の把握、パーティー(チーム)のモチベーションの保ち方まで筆が伸ばされる。
紹介されている手法の中でも、面白いと思ったのが、ミーティングに出席する際に、「仲間」の全員が持参することが要求される「おみやげ」と著者が呼ぶアイデア・メモ。 アウトプットが少ないわりに、時間だけは浪費するような会議を格段に効率化するテクニックではないかと感じだ。
本書の手法がどの業種でも使えるかと言えば、正直、疑問なのだが、著者はあとがきで
攻略本通りに、ただただゲームを遊ぶのなんて、とてもつまらないことだ。(中略)プロジェクトを楽しむために、あなたオリジナルの方法を作り出す。その基本的な方法について、書いてきた。(p.124)
と述べている。使えそうなものを叩き台にして、自分たちパーティーの中の独自の手法へレベルアップさせていくというのが本書の良い使い方なのかもしれない。
小難しい理論も横文字も登場しない本書は、非常にとっつきやすく、初めて読むプロジェクト本としてもオススメしたい。
個人的には、プロジェクト本なんて読んだことがないであろう同僚に宣伝するために、会社用にも一冊買おうと思っている。
参考
[本] 仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本(米光 一成) - capsctrldays (2007-12-01)
2008-01-05(Sat) [長年日記] この日を編集
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国家情報戦略 (講談社+α新書)(佐藤 優/コウ・ヨンチョル)
インテリジェンスや外交に関する本を矢継ぎ早に上梓している佐藤優氏と、元韓国海軍少佐で日本へ機密情報を流したとの罪で逮捕、投獄された経験を持つコウ・ヨンチョル氏の対談集。
対談は、双方が経験した国策捜査や日韓におけるインテリジェンス、北朝鮮問題など多岐に及ぶのだが、その中でも面白かったのが、在韓米軍が行なっている対北朝鮮インテリジェンス。 コウ氏によれば、U-2三機を8時間交代で休戦ライン近隣に飛ばしているとのことだが、その通信傍受(盗聴)能力は「金正日のほんの些細な動き、たとえば息の音まで」感知できるほどだという。*1
また、北朝鮮工作機関についても触れられているのだが、その設立に関わったのは、旧帝国陸軍中野学校の出身者との話が書かれていて驚かされる。潜入工作員や偽ドル札など北朝鮮工作機関が行なっている作戦には、中野学校のノウハウが使われているとのことで、それに対処するためにも、もう一度、中野学校を見つめ直す必要があると提言されている。
おかしかったのが、コウ氏が語る海軍特殊部隊隊長時代の経験。 「特殊部隊」と聞くと、エリートを想像するが、実際は
異動してきた兵士のほとんどは、正規部隊で事故を起こしたり、いわゆる荒っぽい連中でした(p.51)
とのことで、まるで映画『シルミド』の世界なのだが、さらに、
指示命令に従わない兵士や、兵士同士のトラブルに対しては、拳銃を発砲して威嚇することもありました(笑)(p.52)
なんてこと話もあって、「いったい、どんな『特殊』部隊だよ!」とツッコミを入れたくなる。 ちなみに、コウ氏によれば、寝るときにはいつも拳銃を枕元に隠していたとのことだ。
ページ数(204ページ)の関係もあって、内容にそれほど深みはないが、インテリジェンスに興味がある人もしくは佐藤優ファンであれば、面白く読める一冊ではないかと思う。
*1 ただ、実際に行なわれているアメリカの対北朝鮮外交を考えると、ホントかよ、と眉に唾をつけたくなる話ではある。
2008-01-06(Sun) [長年日記] この日を編集
_ tDiary用AutoPagerize化pluginを書き直した
こないだ書いたpluginがいまいちなので、全面的に書き直した。
今回はパッチにしてみようかとも考えたけれど、未来方向が<link rel="prev">、過去方向が<link rel="next">と指定してあって、トリッキーなのでpluginにしておいた。 まぁ、tDiaryが正式にAutoPagerizeに対応すれば用がなくなる代物だけど。
改善点は下記の通り。
- navi_itemにrel属性を追加するのではなく、ヘッダに<link>タグに追加するようにした。
- すべての日記で過去方向に読み込まれるようにした。
- 上書きするメソッドをindex_page_tagだけにした。
このpluginを使うためには、pluginを有効にした後、、[編集] - [設定] - [ヘッダ・フッタ]から編集画面に入って、
- ヘッダの最初に<div class="autopagerize_page_element">(tDiaryでAutoPagerizeを使う - capsctrldays (2007-09-01)の通り、<div class="main">を、<div class="main autopagerize_page_element">に変更することをオススメ)。
- フッタのページ区切りとなる場所に、<div class="autopagerize_insert_before"> </div>
を入れてください。
ダウンロードはこちらから。→autopagerize.rb
コードも貼っておきます。ツッコミ歓迎。
#
# autopagerize.rb - tDiary plugin
#
# add <link rel="prev"> and <link rel="next"> tags for AutoPagerize
#
# Copyright (C) 2008 MATSUI Shinsuke <poppen@karashi.org>
# You can redistribute it and/or modify it under GPL2.
#
#
# HTML header
#
def index_page_tag
result = ''
if @index_page and @index_page.size > 0 then
result << %Q[<link rel="index" title="#{h navi_index}" href="#{h @index_page}">\n\t]
end
if @prev_day then
case @mode
when 'day'
result << %Q[<link rel="next" title="#{navi_prev_diary( Time::local(*@prev_day.scan(/^(\d{4})(\d\d)(\d\d)$/)[0]) )}" href="#{h @index}#{anchor @prev_day}">\n\t]
when 'nyear'
result << %Q[<link rel="next" title="#{navi_prev_nyear( Time::local(*@prev_day.scan(/^(\d{4})(\d\d)(\d\d)$/)[0]) )}" href="#{h @index}#{anchor @prev_day[4,4]}">\n\t]
end
end
if @next_day then
case @mode
when 'day'
result << %Q[<link rel="prev" title="#{navi_next_diary( Time::local(*@next_day.scan(/^(\d{4})(\d\d)(\d\d)$/)[0]) )}" href="#{h @index}#{anchor @next_day}">\n\t]
when 'nyear'
result << %Q[<link rel="prev" title="#{h navi_next_nyear( Time::local(*@next_day.scan(/^(\d{4})(\d\d)(\d\d)$/)[0]) )}" href="#{h @index}#{anchor @next_day[4,4]}">\n\t]
end
end
if @mode == 'month' && !(months = _create_month).empty? then
prev_month = months['prev_month']
next_month = months['next_month']
if prev_month then
result << %Q[<link rel="next" title="#{h navi_prev_month}" href="#{h @index}#{anchor( prev_month )}">\n\t]
end
if next_month then
result << %Q[<link rel="prev" title="#{h navi_next_month}" href="#{h @index}#{anchor( next_month )}">\n\t]
end
end
if @mode == 'latest' then
if @conf['ndays.prev'] then
result << %Q[<link rel="next" title="#{h navi_prev_ndays}" href="#{h @index}#{anchor( @conf['ndays.prev'] + '-' + @conf.latest_limit.to_s )}">\n\t]
end
if @conf['ndays.next'] then
result << %Q[<link rel="prev" title="#{h navi_next_ndays}" href="#{h @index}#{anchor( @conf['ndays.next'] + '-' + @conf.latest_limit.to_s )}">\n\t]
end
end
result << %Q[<link rel="start" title="#{navi_latest}" href="#{h @index}">\n\t]
result.chop.chop
end
def _create_month
result = {}
ym = []
@years.keys.each do |y|
ym += @years[y].collect {|m| y + m}
end
ym.sort!
now = @date.strftime( '%Y%m' )
return '' unless ym.index( now )
result['prev_month'] = ym.index( now ) == 0 ? nil : ym[ym.index( now )-1]
result['next_month'] = ym[ym.index( now )+1]
result
end
# Local Variables:
# mode: ruby
# indent-tabs-mode: t
# tab-width: 3
# ruby-indent-level: 3
# End:
# vi: ts=3 sw=3
2007/1/8追記
もうちょっとシンプルなpluginを書きました。
2008-01-08(Tue) [長年日記] この日を編集
_ またまた、tDiary用AutoPagerize化pluginを書き直した
AutoPagerize化pluginはこないだ書き直したばかりだけど、tDiaryは標準でも「日」表示と「長年日記」には<link rel="prev">、<link rel="next">が入っているんだから、あとは「最新」表示と「月」表示に<link rel="prev">、<link rel="next">に追加すればいいんじゃね? と思い付いたので、またまた書き直してみた。
特徴
- 今回はヘッダに<link rel="prev">と<link rel="next">を入れるだけでシンプル。
- よって、tDiary標準のメソッド上書きなし!
- 前回と違って、「最近」表示以外は未来方向へ進む(最初に書いたpluginと同じ方向に戻った)。
- でも、やっぱり、下記のようにヘッダとフッタを編集する必要がある。*1
- ヘッダ:<div class="main autopagerize_page_element">
- フッタ:<div class="autopagerize_insert_before"> </div>
- autopagerize.rbとは共存できないので、simple_autopagerize.rbを使う場合には外す。
追記(2008/1/11)
ファイルの置き場所をCodeReposに変更。
*1 pluginでどうにかしたいけど、やり方が分からない。orz
2008-01-10(Thu) [長年日記] この日を編集
_
過剰と破壊の経済学 「ムーアの法則」で何が変わるのか? (アスキー新書 042) (アスキー新書 42)(池田 信夫)
アスキー様より本が好き!経由で献本して頂いた。アスキー様および本が好き!プロジェクトに感謝致します。
エコノミストで、人気blog『池田信夫 blog』の著者でもある池田信夫氏が「ムーアの法則」を通じて、未来の情報技術と経済を展望しているのが本書。 ムーアの法則自体は知っていたが、それが経済に与えるインパクトという面は、ほとんど考えたことがなく、なかなか興味深く読めた一冊だった。
ムーアの法則とは、インテルの共同創設者であるゴードン・ムーアが1965年に提唱した「半導体の集積度は24ヶ月(1975年に18ヶ月に修正)で2倍になる」という予言だ。 この予言はほぼ当たり、この40年間で半導体の集積度と処理速度は2年ごとに2倍に上がり、コストは18ヶ月ごとに半分に下がった。 著者は、このムーアの法則によるイノベーションによって指数関数的に発達した情報技術が、いかに世界を変容させたかを様々な事例を挙げている。 いくつか例を引けば、コンピュータはコモディティ(日用品)化し、情報は大衆のものから個人のものへと変化し、資本は国境を越えて動くようになった。
思い返してみれば、私が初めて自分のPCを手に入れたのは約13〜14年前。 当時、DOS/V*1と呼ばれていたショップブランドのマシンで、CPUはPentium 90MHz、メモリは16MB、HDDは10GBくらいで約20万円程度だったと記憶している。 今となってみれば、ゴミにしかならないスペックだが、それでも、その頃、まだ主流だったNEC PC-98シリーズよりもかなり割安だったはずだ。 現在の、あの頃は高嶺の花だったノートPCが6〜7万円も出せば買えてしまう状況を考えると、なんだか頭がくらくらしてきてしまう。
さらにネットになると……もう筆舌に尽くしがたい発展ぶりだ。 今の20代前半より下の年齢の人に「昔のネット廃人は夜中の11時から朝の8時までは活動時間だったんだよ」と言っても怪訝な顔をされるかも知れない。 あったんだよ。テレホーダイというのが──と呟いてしまいたくなるが、昔話になってしまうので、以下略。
さて、ここまでが本書の前半で、後半から著者は日本の産業構造や電波業界の利権主義などによるイノベーションの阻害要因を斬っていく。
ただ、率直に言って、前半と比較すると、後半の説得力はかなり落ちると言わざるを得ない。 SIMロック解除による携帯電話業界の開放であれば、私も賛成できるのだが、 敵対的買収防衛策などの姑息な手段は使わず、日本の企業は外資にゴンゴン買収された方がいいという話になると、「果たして、本当にそれが良いことなんだろうか」と考えてしまう。 少なくとも、それは現在の日本に存在する経済問題のひとつ──所得格差をさらに広げる要因になるのは確実ではないだろうか。
著者の所得格差についての考え方は終章で述べられている。
所得格差の拡大している国ほど成長率も高い。(p.198)
つづけて、日本は所得格差が小さいため成長率が低い、と述べているが、現在の所得格差を「小さい」と見なすことに異論を唱える人も多いのではないかと思う。 さらに
全階層所得が上がっているかぎり、格差拡大は悪いことではない。(p.198)
と主張する。 確かにこの通りに進めば薔薇色であるのだが、この路線であるハイエク型経済政策を目指した小泉改革が理想通りに進まなかったからこそ、今日のワーキングプア問題があるのではないだろうか。個人的には納得しづらい。
いくつか異論を書いた通り、読む人により評価の分かれる本ではあるが、刺激を受ける一冊であることは間違いない。さらっと読める厚さであるにもかかわらず、濃い内容。値段も760円(税込)というお手頃価格であり、なかなかコストパフォーマンの良い本と言えるものと思う。
- 池田 信夫
- アスキー
- 760円
書評/経済・金融
*1 本書にも登場する。
2008-01-11(Fri) [長年日記] この日を編集
_ CodeReposに入ったよ
ヘタレな俺だけど、楽しそうなので仲間に入れて貰ったよ。うひ。
とりあえず、こないだ書いたsimple_autopagerize.rbをimportしておいた。
いちおう仕事でsubversionとsvkは使っているんだけど、やっぱりpublicなリポジトリをいじると思うと緊張するね。
_ svk mirrorの役割り
svkを使う際には、そういうもんだと思っていて、なんの疑問もなく、
- svk mirrorでリポジトリのミラーを作って、svk syncする。
- svk copyで作業用ブランチを作る。
- svk coまたはsvn coでチェックアウトする。
という手順を踏んでいたんだけど、リポジトリのmirrorは言ってみれば、コピー元リポジトリのaliasみたいなものらしい。 そのため、mirrorから直接チェックアウトすれば、commitした際、すぐに元リポジトリにcommitされるという流れになる(オンラインであれば)。
svk switchってなんのためにあるのか、やっと分かったよ。
でも、個人的には「すぐ」というのがちょっと怖いので、やっぱり、作業用ブランチをチェックアウトする形でワンクッション置いた方が良さげ。
_
銀竜の騎士団 大魔法使いとゴブリン王(D&D スーパーファンタジー) (ハードカバー) (ダンジョンズ&ドラゴンズスーパーファンタジー)(マット・フォーベック)
夜になると魔物がうろつく、呪われた町カーストン――魔法使いの弟子ケラックと気弱な弟ドリスコルは、ある怪事件の第一発見者となる。独自の手がかりをつかんだ二人の少年は、無理解な大人たちとは別に捜査を開始。そこに貧しい盗賊の少女モイラも加わり、限られた時間内にある魂を救うべく、危険な探索にいどむ。やがて三人の少年少女はだれも知らない事件の真相へせまっていく。そして彼らが向かった先は、ゴブリン、ゾンビ、アウルベアがひそむ〈破滅の地下迷宮〉だった。
アスキー様より本が好き!経由で献本して頂いた。アスキー様および本が好き!プロジェクトに感謝致します。
TRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、D&D)の背景世界のひとつ、グレイホークを舞台に、少年少女たちが活躍するジュブナイル小説が本書。
なにを隠そう、今から21年前(1987年)の小学生の時分に、本書とは別の背景世界、クリンを舞台にしたD&D小説『ドラゴンランス』シリーズにハマっていたことがある。 『ドラゴンランス』シリーズは、当時、富士見書房から文庫として出版されていたが、版権元である米TSR社が倒産したことにより中断。 2002年に、本書を出版したアスキーからハードカバーとして復刊し、つい先日、めでたく完結したとのことだ(中断してからは未読)。
そんな縁もあって献本して頂いた本書だが、デカイ活字、広い行間、ひらがな率が高い上、ほとんどの漢字にはルビが振ってあるといった、いかにもジュブナイル小説な体裁をして、ちょっと私のようなオッサンが手にするのは躊躇してしまう見た目ではある。 しかし、実際に読んでみたところ、息をつくせぬ間もなく展開されるジェットコースター・ストーリーにぐいぐい引っ張られて一気読みしてしまった。
なんと言っても、主人公たちの活躍ぶりがいい。 彼らは少々、魔法や錠前外し、軽業の技術がある程度で、ほとんど無力な少年少女たちなのだ。 ゲーム的に言えば、レベル1か、それ以下(なにしろ、典型的な雑魚キャラであるゴブリンとも、まともに戦えないくらいだ)。 そんな彼らであるが、降り掛かるピンチの数々を知恵と勇気(と運の強さ)で切り抜けていく。 冒険の末の胸すくラストも爽やかだ。
ファンタジーに抵抗を感じない読み手であれば、老若男女問わず楽しめる内容に仕上がっているのではないかと思う。
本書は読者年齢を意識してか、1,365円(税込)というかなりお買い得な価格になっている。 ハードカバーの翻訳ものと言えば、大抵、それなりの値段になっているのが相場なので、出版社の努力が見える価格と言っていいものと思う。 子供はもちろん、お父さんお母さんの財布にも優しいお値段だろう。
本書で唯一、苦言を呈したいのが、巻末付録のモンスター図鑑。 本書に登場するモンスターについて解説してあるのだが、掲載されている粗いモンスターの図は、どうやらゲーム用メタルフィギュアの写真を使っているようだ。 出来れば、ここは本書のカバー画に見当ったイラストにして貰いたかったところではある。
『ハリー・ポッター』シリーズのヒット以来、海外のファンタジー小説をハードカバーの児童書として出版することが流行しているようだ。 正直なところ、個人的にはブームというもの全般を懐疑的に見てしまうところがあって、ハリポタ・ブームもあまり好ましく思っていなかったのだが、 本書や前掲の『ドラゴンランス』のような良作が訳される機会が生まれるのであれば、ブームも悪くないかなと思う
なお、読み終えた本書は、ハリポタ好きの姪に渡してみようと考えている。 もしかすると、新たなD&Dファンが増えるかも知れない。 ちょっと楽しみである。
- マット・フォーベック、池田 宗隆、安田 均、柘植 めぐみ
- アスキー
- 1365円
書評/SF&ファンタジー
2008-01-12(Sat) [長年日記] この日を編集
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怪獣記(高野 秀行)
コンゴの怪獣「ムベンベ」、ベトナムの猿人「フイハイ」、インドの怪魚「ウモッカ」と数々のUMA(未確認不思議動物)を探索してきた著者が、トルコ東部のワン湖に棲むとされる怪獣「ジャナワール」を追っているのが本書。 さすがは日本の誇る冒険文筆家にして、エンタメノンフ(エンターテイメント・ノンフィクション)の提唱者、高野秀行。めちゃくちゃ楽しいノンフィクションに仕上がっている。
ジャナワール探索行は、UMA仲間から著者に掛かってきた1本の電話から始まる。 ジャナワールの撮影に成功したビデオがあるとのニュースが、CNNに流れたというのだ。 ビデオを確認し、そのあまりのニセモノっぽさに、当初、ジャナワールについて懐疑的だった著者だが、現地の大学教授による、ジャナワール目撃者たちの住所氏名付き研究書を発見したことから、トルコに飛ぶことを決意する。
しかし、現地で調査を続けるうちに、著者たちは今まで流されてきたジャナワールに関する報道のほとんどがアスパラガス(現地の言葉で「ヤラセ」の意)であることを知るのだ。
一般人であれば(まぁ、一般人であればUMA探しにトルコまで行ったりはしないのであるが)、ここで挫けてしまうところだが、不屈の精神を持つ著者は違う。高らかにこう宣言する。
今、ちゃんとした情報を握り、客観的にジャナ(引用者注:ジャナワールのこと)を調査できる人間は世界でたったひとりしかいない。もちろん私だ。(p.106)
いやー、カッコいいじゃないですか。
そんな力強い宣言とは裏腹に、「ジャナワールを探しに来た」と言う度に、現地人に嗤われまくったり、有力な証言を得たことで燃え上がってしまった現地ガイドたちに逆に引き回されたり、幼児用ビニールボート*1とどこかで拾った板切れをパドル代わりにワン湖に漕ぎ出したりと、爆笑エピソードのオンパレードだったりする訳ではあるが。
面白いだけではなく、トルコにおける、クルド人問題、イスラム復興主義運動、台頭する極右といいた現地の政治状況も知ることができるとともに、掲載された美しい風景写真も堪能できるという、一粒で二度どころか三度おいしい一冊になっている。
果たしてジャナワールは存在するのか? 探索行の果てに一行が見たものは? あとは本書をお読みあれ。
*1 体重55キロまでの制限あり。
2008-01-13(Sun) [長年日記] この日を編集
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裁かれた罪裁けなかった「こころ」―17歳の自閉症裁判(佐藤 幹夫)
2005年2月、大阪府寝屋川市の小学校に17歳の少年が侵入した。 少年は持っていた包丁で教師一人を殺害し、二人の教職員に重傷を負わせた後、その場で取り押さえられ逮捕される。 少年は当初、小学校に恨みを持って犯行に及んだとされていたが、2度の精神鑑定の結果、自閉症圏の障害である広汎性発達障害を持ち、対人関係や社会性に障害があると診断された。
2001年に浅草で起きた女子短大生刺殺事件(レッサーパンダ事件)の真実に迫ったルポルタージュ、『自閉症裁判』を上梓した著者が、公判の傍聴と弁護士への取材を通じて、事件の実相に迫っているのが本書。
広汎性発達障害とはなにか。乱暴を承知で、本書の中で紹介に解説されている記述を纏めれば、
「知能の遅れこそないが、言葉を字義通りにしか受け取れず、自分を状況に応じて対象化することができない。つまり、相手側の立場に立てない障害」
ということができるだろう。
加害者である少年は、逮捕後の取調べや公判を通じても、自身が犯した犯行について真摯に反省している態度を見せることはない。しかし、それは「反省しない」のではなく、「反省できない」ができないという事実を、著者は浮き彫りにしていく。
そのような状況で、少年をどう裁くべきなのか。 弁護側は、少年が長期間のケアなくしては事件を見つめ直して贖罪するという意識が持てないことを理由に、少年院での更生を目指すべきだと訴える。 一方、検察側は、少年の広汎性発達障害は認めるものの、加害者の知能および事件の重大性と被害者感情を考え、少年刑務所での処遇を主張する。
著者は、どちらかと言えば、加害者側の立場で本書を著しているが、できる限り公正な視線で事件を見つめようとする。 そのひとつが第6章に記された遺族や被害者たちの峻烈な声だ。 突然、愛するものを奪われた家族の慟哭や、後遺症に悩む被害者たちの姿は胸を強く締めつけてくる。
少年犯罪への厳罰化が叫ばれているのが最近の世論の動向だ。 しかし、加害者が本件のような障害を持っていた場合は、健常者の視点で裁けばそれでよしとするのか。 また、障害者を持った加害者に司法が配慮するのであれば、被害者側の気持ちはどう汲むべくなのか。 本書は、様々な形で読み手の心を揺さぶってくる。
裁判員制度が開始されれば、我々が裁く立場になる可能性がある。 改めて「裁く」とは何かを考えさせる本書を読むことは、自分が裁く立場にたった時のためにも有益だろう。 前掲の『自閉症裁判』や、 『累犯障害者』、 『殺された側の論理』 とともにオススメしたい。
本書の最後は、検察および被告が上告をしたところで終わっているが、二審、少年に一審より重い懲役15年の実刑判決が言い渡され、検察、被告ともに上告せず結審したことを付記しておく。
2008-01-14(Mon) [長年日記] この日を編集
_ tDiary:aboutmeプラグインを書いたよ
たださん作のiddy.rbをパクれば改造すれば、アバウトミーに対応できれるんじゃね? と思い付いたので、REXMLの勉強がてらプラグインを書いて、CodeReposにcommitしておいた。
アバウトミーのブログパーツの方が高機能だけど、"Eat your own dog food"という訳なので、自分の日記で使うことにするよ。
概要
アバウトミー(aboutme.jp)のプロフィールを表示するプラグイン。現在表示されるのは顔写真と名前のみ。アバウトミーのプロフィールへのリンクが生成される。
特徴は、下記の通り。
- ニックネームに未対応なので、使い方がちょっぴり面倒。
- iddy.rb
丸パクリ互換なため、出力されるHTMLがほぼ一緒。そんな訳でCSSも、s/iddy/aboutme/gすればOK。
使い方
サイドバーなどで以下のように指定する。
<%= aboutme 'ユーザid' %>
その他
ユーザidの調べ方
ニックネームには対応していないので、まず、自分のidを調べる必要がある。
ブラウザなどで
http://api.aboutme.jp/api/v1/users/search?nickname=ニックネーム
を開き、表示されたXMLを調べる。<id>タグに囲まれた数値がユーザidになる。
例:
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>
<response>
<status>
<code>200</code>
<message>OK</message>
<language>ja</language>
</status>
<result>
<user>
<id>1</id>
<nickname>
(以下、略)
が表示された場合、ユーザidは1になる。
同じニックネームのユーザが他に存在する場合には、複数のidが表示されるので間違えないこと。
CSSについて
append-css.rbなどを使って、次のスタイルシートを追加するといいぞ。
div.aboutme { text-align: center; }
div.aboutme img { border-width: 0px; }
div.aboutme span { display: block; }
span.aboutme-powered { font-size: 50%; color: #888; }
参考
2008-01-15(Tue) [長年日記] この日を編集
_ 帰宅して晩飯食べたらgerry++
晩飯食べて、テレビを見て「そろそろPCでも立ち上げるかなー」と思ったら、gerry++。晩飯全部出てしまいました(汚ない)。
そんな訳で、PCを立ち上げず、風呂入って、読書して寝た。
今読んでいるのは、L・M・ビジョルドの『チャリオンの影』。 ファンタジーということでスルーしていたんだけど、非常に面白い。もっと早く読めばよかった。
それにしても、なんで腹下したかなー。ここ1年になかったくらい痛かった。
は、もしかして、妻の飯が(以下、略)
2008-01-17(Thu) [長年日記] この日を編集
_ 今日のできごと
久しぶりにRails勉強会@東京に出てみようかと思ったら、もうキャンセル待ち状態。日曜日は午前中、出勤しないけなくなりそうなので、まぁ、いいやということで諦め。
読書は『マリアナ沖海戦』(川崎まなぶ)と『チャリオンの影』(L・M・ビジョルド)の上巻を読了。明日から『チャリオンの影』の下巻を読む。あ、あとSFマガジンの1月号も(一ヶ月遅れ)。 あー、『アジャイルレトロスペクティブズ』と『アジャイルプラクティス』も来週中に読みたいなぁ。
aboutme.rbのエンコーディングをcp932にするという恥ずかしい間違いをしていたので、euc-jpに変換し直してcommitしておいた。
でも、CodeReposのtracがutf-8なので、きちんと見えないんだよね。utf-8で書いて、中でnkf.rbで変換してeuc-jpで出力するというのも考えたんだけど、それほど大袈裟なもんじゃないしなぁ。
2008-01-18(Fri) [長年日記] この日を編集
_
S-Fマガジン 2008年 01月号 [雑誌]
1ヶ月遅れで読了。
今号はテッド・チャン特集ということで面白い号だった。
以下、感想をつらつらと。
「商人と錬金術師の門」(テッド・チャン)
確定未来を描いた作品。 中東の雰囲気も良く、楽しめた。
〈歳月の門〉で20年間を行ったり来たりできるのはいいとして、20年後の人物が20年前(つまり、20年後の人物から見て、40年後)に行くのには、門を2回、右(過去)方向に入ればいいのかな。
「予期される未来」(テッド・チャン)
こっちも確定未来を扱った作品。
読んで、イーガンの「百光年ダイアリー」っぽいと思ったけれど、あれって過去に送信されるデータが改竄されるっつーう内容だったかなぁ。忘れてしまった。
テッド・チャンのエッセイやインタビューをまとめて
アメリカではテッド・チャンって売れていないんだねぇ。 個人的にはイーガンよりも好みだったりするんだけど。
そういえば、『あなたの人生の物語』(ブックオフの105円コーナーで保護)をアメリカ在住の従姉に送ったんだけど、読んだかな。
「罪火大戦ジャン・ゴーレ」(田中啓文)
祝! 第1部完。
今年、単行本にまとまるということで楽しみ。
「セーフガード」(久道進)
SFとしてはイマイチだけど、介護小説としては高い水準にあるのではないかと思った。
「親は子育てで苦労したのだから、介護で恩返しすべきだ」との言説を否定する主人公の思いには、介護経験者の実感が籠っているように感じられた(ホントにそうかは不明だが)。
「特別大使との夕暮れの会談」(セルゲイ・ルキヤネンコ)
『ナイト・ウォッチ』作者による短篇。
ロシアンな皮肉が効いている良作。
2008-01-19(Sat) [長年日記] この日を編集
_
マリアナ沖海戦―母艦搭乗員激闘の記録(川崎 まなぶ)
1944年に惹起したマリアナ沖海戦。日米の機動部隊が激突した史上最大の空母戦でありながら、これまでその実態──特に日本側から見たもの──は詳細に語られることはなかった。 日本海軍の母艦搭乗員たちにスポットを当て、生存者の証言や記録、収集した資料を丹念に繋ぎあわせて、マリアナ沖海戦の全貌を描き出しているのが本書。 まさに労作の名にふさわしい一冊だ。 質も高く、今後、マリアナ沖海戦を考察する際の基本文献になるのではないかと思う。
ちなみに、著者はなんと昭和50年生まれ。 私と同年代ではあるが、綿密な調査を重ねた情熱と、その調査結果を一冊の本としてまとめあげた才能には驚くばかりだ。
著者は、各航空隊の生い立ちから筆を起こし、それらの部隊がどのように訓練を積み、どう強大な米空母部隊に戦いを挑んだかを描き出すとともに、マリアナ海戦後の運命にまで筆を伸ばしていく。 母艦航空隊を陸上基地に派遣して行なわれた「い号作戦」や「ろ号作戦」が招いた消耗や、訓練時の事故や機材の不良、空輸で多数の搭乗員と機材が失われたという事実、零戦を戦闘爆撃機化した経緯など、非常に興味深く読んだ。
著者は様々な日本海軍の欠陥を挙げているが、その中でも特に印象に残ったのが、通信の不良だ。
通信の不良は兵力が劣り連携を欠くことが出来ない日本海軍には致命的なものとなった。小は空戦、攻撃、大は司令部同士の意思疎通に円滑さを欠いていた。(p.260)
と指摘している通り、集中して投入すれば、それなりの戦果を挙げられたかもしれない母艦航空隊や基地航空隊の戦力が、共同できず、五月雨式に米空母部隊を攻撃し、各個撃破されていった。
従来言われていたほど、日本軍の電探(レーダー)が低性能ではなかったという事実も本書で明らかにされている(重巡「摩耶」の二号一型電探が170キロにて敵編隊を捕捉している)。しかし、司令部に遅滞なく伝達する体制が確率されておらず、邀撃になんの寄与もしなかったということもまた通信不良が遠因と考えることができるだろう。
大日本絵画の軍事系書籍は高価なものがほとんどだが、本書もご多分に漏れず、4,515円(税込)という、かなり財布に辛い価格になっている。 また、推敲不足か文章に読み辛い部分がある、図表の類いがあまり多くなくリーダビリティに少々難がある、など残念な点も見受けられる。
しかし、 約300ページに渡って二段組みで詳細に記述された本文のボリュームと 100ページ近くに渡って巻末に掲載された編成表などの資料的価値は、それらの欠点を補って余りある。 マリアナ沖海戦に興味を持つ読者にとっては、値段に見当った価値のある本と言えるだろう。
2008-01-20(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 俺もローカルブランチ作っていた
CodeRepos + svkでmiss - はこべにっき#
こないだ、svk mirrorの役割が分かった時に
やっぱり、作業用ブランチ(注:ローカルブランチのこと)をチェックアウトする形でワンクッション置いた方が良さげ。
なんてことを書いたけど、多人数が触るリポジトリでは危ないことだったらしい。俺もあやうく、ミスるとこだった。あぶねー。
ってことで、これからはきちんとFAQ/svk - CodeRepos::Share - Tracの通り、mirrorブランチからcheckoutして作業をしますよ。
2008-01-22(Tue) [長年日記] この日を編集
_ 最近の読書
ビジョルドの『チャリオンの影』上下巻を読み終えたので、今は続篇『影の棲む城』を読んでいる。今日、上巻を読み終え、下巻に入ったところ。
その後、『世界の涯まで犬たちと』(アーサー・ブラッドフォード)か、『残虐行為記録保管所』(チャールズ・ストロス)を読んで、技術書を1冊読もうかと計画中。
物欲のままに、本を発注しまくちまったので、積ん読がさらに増えそうな感じではある。
2008-01-24(Thu) [長年日記] この日を編集
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影の棲む城 上 (1) (創元推理文庫 F ヒ 5-4)(ロイス・マクマスター・ビジョルド)
東京創元社様よりで本が好き!経由で献本頂きました。御礼申し上げます。
ロイス・マクマスター・ビジョルドによる10世紀から15世紀頃のイベリア半島をモデルにした異世界ファンタジー〈五神教〉シリーズの第2弾が本書。 さすが、ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの三賞受賞は伊達ではない。 文句なしに太鼓判を押せる大傑作だ。
舞台は、前作『チャリオンの影』から3年後。カザリルの活躍によりチャリオン王家にかけられていた呪詛は解かれたものの、現チャリオン国主イセーレの母にして元聖女、イスタに付けられた「狂女」の烙印は消えることがなく、彼女は城から出ることのない憂鬱な日々を送っていた。 庇護すべき母は既に亡く、すべての義務から解放された身でありながら、このまま一生を城の中で送ることになるのか。 自分の生き方に疑問を覚えたイスタは周囲の反対を押し切り、わずかな伴を連れての巡礼の旅に出ることを決意する。 それが聖女として新たな使命を果たす旅になるとも知らずに──。
本書では、『チャリオンの影』のカザリル、イセーレ、ベトリスら主人公級の登場人物は姿を見せず、名前に触れられるだけに留まっている。 代わって主役と務めるのが、国太后となったイスタ(40歳)。 前作では、エキセントリックな言動ばかりが目立ってイマイチどういう人物なのか掴めなかった彼女だが、本作では、次々に襲いかかる危機を、時に神に祈りを捧げながら、また時に神を罵倒しつつ、持ち前の決断力で乗り越えていく芯の強さを持った女性として描かれている。強さだけではなく、美丈夫な男性にドキドキするような可愛らしさもあって、オレ的「萌え」のツボを突かれまくった。
イスタの巡礼の旅にお伴をするのが、前作でも活躍した姫神の騎士フェルダとフォイのグーラ兄弟、馬を駆る急使でありながらイスタの侍女兼馬丁として急遽雇われた元気娘リス、純情そうな外見とは裏腹に女性へ手を出すのが早いらしい、太っちょな庶子神神官カボンといった、前作以上にキャラ立ちした登場人物たち。 そこに、ポリフォルス砦を守護する騎士アリーズやその奥方カティラーラ、目覚めることのない眠りに就いたアリーズの異父弟イルヴァン、果ては、前作ではちらっとしか姿を現わさなかった神々(イスタに、スケベ中年じみたセクハラを仕掛ける庶子神には笑った)や、「魔」が加わって、怒涛のストーリーが展開されてしまう。 ビジョルドの卓越したストーリーテリングにぐいぐい引っ張られて、睡眠時間が奪われること必至なので注意すること。
全篇、山場ばかりと言っても過言ではない本書だが、その中でも、砦を包囲した敵の大軍に夜襲をかけるべく集結したアリーズ率いる決死隊(その数、わずか14名!)に、イスタが祝福を与えるシーンがなんといってもいい。 イスタがアリーズに伝えた言葉がなんとも感動的で、ちょっと涙腺が緩くなってしまった。
訳者あとがきによれば、本書につづく〈五神教〉シリーズ第3弾は、同じ世界ではあるがチャリオンを離れ、国も登場人物も重ならないストーリーになるとのこと。 もう少しチャリオンの人々の物語を読んでみたいような気がして、少々残念ではあるが、そこはビジョルドのこと、退屈する作品にならないことだけは間違いない。 一日も早い刊行を望みつつ、首を長くして待っていることにしよう。
影の棲む城 上 (1) (創元推理文庫 F ヒ 5-4)
東京創元社
¥ 1,008
影の棲む城 下 (3) (創元推理文庫 F ヒ 5-5)
東京創元社
¥ 1,008
- ロイス マクマスター ビジョルド
- 東京創元社
- 1008円
書評/SF&ファンタジー
2008-01-25(Fri) [長年日記] この日を編集
_ HDMobiMail Shift_JIS対応版
数日前からdocomoからのメールがHDMobiMailで読むと文字化けするようになってしまった。
原因を調べるのも面倒くさくて、妻がdocomoなため、「帰るよ」メールやらなんやらを英語でやりとりするという、なんだか欧米かぶれのような訳の分からないことをやっていたのだが、英語を書く方がさらに面倒になったきたので、ちょっとググってみた。*1
作者である、ひで@きさんの日記のコメント欄によると、docomoやauの絵文字が受信可能になったことに伴なって、willcom側でdocomoからのメールのエンコーディングをShift_JISにしたことが原因らしい。 アホかと思うが、まぁ、絵文字が読めると嬉しいユーザもいるんだろうなぁ。
タイミングよく、今日、ひで@きさんがHDMobiMail Ver0933g (人柱版)として、Shift_JISメールも読めるバージョンを暫定リリースしてくださったので、さっそくw-zero3[es]にインストール。 見事、文字化けしていたメールも読めるようになった。 willcomで絵文字を送信すると、受信側で化けるという不具合があるらしいが、絵文字は使わないので、そっちは、まぁいいや。
*1 あと、俺より英語ができる妻に、文法やスペルミスを指摘されるのがシャクというのも原因のひとつ。:-)




