ぽっぺん日記@karashi.org
2008-01-12(Sat) [長年日記]
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怪獣記(高野 秀行)
コンゴの怪獣「ムベンベ」、ベトナムの猿人「フイハイ」、インドの怪魚「ウモッカ」と数々のUMA(未確認不思議動物)を探索してきた著者が、トルコ東部のワン湖に棲むとされる怪獣「ジャナワール」を追っているのが本書。 さすがは日本の誇る冒険文筆家にして、エンタメノンフ(エンターテイメント・ノンフィクション)の提唱者、高野秀行。めちゃくちゃ楽しいノンフィクションに仕上がっている。
ジャナワール探索行は、UMA仲間から著者に掛かってきた1本の電話から始まる。 ジャナワールの撮影に成功したビデオがあるとのニュースが、CNNに流れたというのだ。 ビデオを確認し、そのあまりのニセモノっぽさに、当初、ジャナワールについて懐疑的だった著者だが、現地の大学教授による、ジャナワール目撃者たちの住所氏名付き研究書を発見したことから、トルコに飛ぶことを決意する。
しかし、現地で調査を続けるうちに、著者たちは今まで流されてきたジャナワールに関する報道のほとんどがアスパラガス(現地の言葉で「ヤラセ」の意)であることを知るのだ。
一般人であれば(まぁ、一般人であればUMA探しにトルコまで行ったりはしないのであるが)、ここで挫けてしまうところだが、不屈の精神を持つ著者は違う。高らかにこう宣言する。
今、ちゃんとした情報を握り、客観的にジャナ(引用者注:ジャナワールのこと)を調査できる人間は世界でたったひとりしかいない。もちろん私だ。(p.106)
いやー、カッコいいじゃないですか。
そんな力強い宣言とは裏腹に、「ジャナワールを探しに来た」と言う度に、現地人に嗤われまくったり、有力な証言を得たことで燃え上がってしまった現地ガイドたちに逆に引き回されたり、幼児用ビニールボート*1とどこかで拾った板切れをパドル代わりにワン湖に漕ぎ出したりと、爆笑エピソードのオンパレードだったりする訳ではあるが。
面白いだけではなく、トルコにおける、クルド人問題、イスラム復興主義運動、台頭する極右といいた現地の政治状況も知ることができるとともに、掲載された美しい風景写真も堪能できるという、一粒で二度どころか三度おいしい一冊になっている。
果たしてジャナワールは存在するのか? 探索行の果てに一行が見たものは? あとは本書をお読みあれ。
*1 体重55キロまでの制限あり。


まで頂ければ幸いです。
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