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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-01-29(Tue) [長年日記]

曇り

_ チャリオンの影 上 (創元推理文庫)(ロイス・マクマスター・ビジョルド/鍛治 靖子) チャリオンの影 上 (創元推理文庫)(ロイス・マクマスター・ビジョルド/鍛治 靖子)

戦の末に敵国の奴隷となり、身も心もぼろぼろになって故国チャリオンに戻ってきたカザリル。運良く少年の頃に仕えたバオシア藩で、国主の妹イセーレの教育係兼家令に任ぜられた。だが安らぎも束の間、イセーレは弟と共に宮廷に出仕することに……。一方、宮廷では、国主は名ばかりの存在。宰相と弟が権力をほしいままにしていた。カザリルは権謀術数渦巻く宮廷で、イセーレを護ることができるのか? ビジョルドのファンタジー開幕。──東京創元社の書籍紹介より引用

L・M・ビジョルドによる〈五神教〉シリーズ第-1弾が本書。シリーズ第2弾『影の棲む城』の読書感想と前後してしまうが、せっかくなので(?)こちらの読書感想も書いておこう。

新刊の時には、ファンタジーにあまり興味がなかったこともあって、「ビジョルドのヴォルコシガン・シリーズは好きだけど、ファンタジーはなぁ」とスルーしてしまったのだが、『影の棲む城』を献本して頂いたので、こちらも発注して読んでみた。 さすがはビジョルド。キャラ立ちした登場人物たちが織り成すストーリーでぐいぐい引っ張り、一気に読ませる。 スルーして、すげー損した!

軍人として優秀、学識も豊かで、情も兼ね備えているという完全無欠な人間ながら、長年の奴隷生活で心身ともにボロボロ。 外見もムサい髭面のオッサンという主人公カザリル(35歳)の、ファンタジーの王道を微妙に外したキャラクター設定がいい。 痛みに転げ回り、弱音を吐きながらも、国姫イセーレを守るため、自分の命を賭して奮闘するなんて、カッコいいじゃないですか。 歳の近い同じオッサンとしては、強く応援したいキャラでしたよ。 イセーレの侍女ベトリスにほのかな恋心を抱いたり、イセーレやベトリスの濡れて身体に貼り付いた服のラインを見て元気になったりするところも、ほほえましくて○。

一方、カザリルに仕えられるイセーレの人物造形も素晴しい。 乗馬が得意な元気印のお姫様だが、それだけではなく、優れた知性と決断力を持つ人物しても描かれていて*1、 カザリルが己の命を張ってでも守ろうとする理由も、すっと納得することができる。 ビジョルド、うまいなぁと感心してしまうところだ。

ヴォルコシガン・シリーズでもおなじみの宮廷陰謀劇もあり、どこかSFを〈五神教〉の設定もありで、モンスターやら魔法やらがゴンゴン登場するファンタジーにはもう飽きた、という向きにはもちろんのこと、 「ビジョルドはSFしか読まねぇよ」というSF者にも、イチオシな本でありました。 『影の棲む城』とあわせて読むと、さらに楽しさ3倍ですよ。

チャリオンの影 上 (創元推理文庫) チャリオンの影 上 (創元推理文庫)
ロイス・マクマスター・ビジョルド/鍛治 靖子
東京創元社
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チャリオンの影 下 (創元推理文庫) チャリオンの影 下 (創元推理文庫)
ロイス・マクマスター・ビジョルド/鍛治 靖子
東京創元社
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チャリオンの影上 (創元推理文庫)

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書評/SF&ファンタジー

*1 『影が棲む城』でのイセーレの母、イスタの活躍を考えれば、この娘にしてあの母ありという感じだろうか。

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