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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-02-02(Sat) [長年日記]

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_ 映画篇(金城 一紀) 映画篇(金城 一紀)

「本の雑誌」2007年度年間ベストテンに挙がっていたので、手に取ったのが本書。

実は、金城一紀の作品を読むのは、今回が初めてだったのだが、映画好き(と言っても、最近はテレビ劇場オンリーだが)のツボを刺激してくる良い短篇集だった

本書に収められているのは、下記の5作品。

  • 「太陽がいっぱい」
  • 「ドラゴン怒りの鉄拳」
  • 「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」
  • 「ペイルライダー」
  • 「愛の泉」

個々の作品も良いが、一部の登場人物が重なっていたり、区民会館で上映される『ローマの休日』がキーになっていたりと、作品同士が緩くリンクしており、全体を通しても楽しめる内容となっている。

収録作の中でも、「ドラゴン怒りの鉄拳」がいい。 本作の主人公は、夫に自殺された20代末の女。 冷たくなった夫の第一発見者となったショックと、製薬会社に勤めていた夫が薬害事件に関わっていたのではないかとのマスコミの取材攻勢に疲れ果て、何ヶ月も自宅から一歩も出ない生活を続けていた。 しかし、夫が延滞していたビデオを返却するため、レンタルビデオ店を訪れたことから、映画マニアのアルバイト学生と出会い、その交流を通して徐々に活力を取り戻していく。 オーソドックスな内容ではあるが、ラストの「闘う準備はできた。」という主人公の独白から立ち上がってくる人生に立ち向かおうとする勇気が素晴しい。 アルバイト学生が主人公に見せる自主制作映画『タンロン怒りの鉄槌』がブルース・リー映画のパロディになっている点も好印象だ(主人公の着ているジャージはadidasならぬadidos、敵のジャージはNikeならぬNikkeなど)。

その他、在日朝鮮人というバッググラウンドを持つ男同士の友情を描く「太陽がいっぱい」、ハーレーダビッドソンFXSローライダーを乗り込なすオバチャン・ライダーと少年の心の触れ合い「ペイルライダー」(ラストの急展開が圧巻!)も印象の残った。

小説のデキが高水準であることはもちろんだが、映画好きであればさらに楽しめる一冊だ。

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