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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-02-28(Thu) [長年日記]

晴れ

_ 古時計の秘密 (創元推理文庫 M キ 5-1 ナンシー・ドルーミステリ 1)(キャロリン・キーン) 古時計の秘密 (創元推理文庫 M キ 5-1 ナンシー・ドルーミステリ 1)(キャロリン・キーン)

東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。

アメリカで昔から多くの子供たちに愛され、現在も書き継がれている国民的探偵小説〈少女探偵ナンシー・ドルー〉シリーズの記念すべき第1弾が本書。

実は「ナンシー・ドルー」についてはごく最近まで知らなかったのだが、先日読んだ『狡猾なる死神よ』の中で、殺人事件の調査に首を突っ込む主人公がナンシー・ドルーごっこのつもりかと揶揄される場面があって、「そういえば、献本リストにナンシー・ドルーの小説があったな」と思い出し、献本して頂いた次第。

個人的な話を書けば、SFに転んだのは、小学生の時に学級文庫にあったSF(今にして思えば、ハインラインの抄訳)を読んだことがきっかけだったのだが、それと同じように、アメリカにも〈ナンシー・ドルー〉シリーズを読んでミステリーに転ぶ子供もいるんだろうなぁと想像しながら読むことができ、なかなか楽しい読書だった。

本書を読んで驚かされるのが、約80年前(!)の1930年に書かれた作品でありながら、ストーリーがまったく古びていないことだ。 ストーリーの根幹のみを描き、時事といったそれ以外の枝葉末節を排した筆致に、現代的な訳を心掛けた訳者の努力が加わり、携帯電話やコンピュータというテクノロジーが登場しないことや、社会福祉制度が充実していないように見えるといったといった些細な点に目をつむれば、つい最近書かれた作品と言っても通用するのではないかと思う。 ここは、日本において子供たちに長年愛読されている〈ズッコケ三人組〉シリーズ〈ぽっぺん先生〉シリーズ(オレのハンドルネームの由来!)といった児童文学に共通しているものだろう。

上記と関連して、もう一つ特筆したいのがストーリー進行の早さ。本書のテーマは、隠された遺言書探しなのだが、ストーリーがそれ一本に絞った直球勝負なので、もう展開が早い早い。例えるなら、Aという場所でBという場所に繋がるヒントが見つかると、次のページどころか、次の行でBに着いてしまっているという感じなのだ。 清々しいばかりの潔さで、最近のやたらと長い小説に慣れた身としては、逆に新鮮に感じてしまった。

また、あとがきで訳者は、勧善懲悪や残酷シーンがないといった、本シリーズの背景にある教育的側面を挙げているが、亡くなった富豪が清くも貧しい生活を送る人々に援助するという、本書のストーリーの骨子もアメリカ的な道徳を表わしているようで興味深い。

対象年齢が対象年齢だけに、ある程度、年齢のいった人間が読んで「傑作!」と感じることはほぼないと思われる作品だが、アメリカの少女(少年も?)がどういった作品を読んでいるのかを知ることができるという面では、貴重な一冊と言えるだろう。


古時計の秘密

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書評/ミステリ・サスペンス

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