ぽっぺん日記@karashi.org
2008-03-01(Sat) [長年日記] この日を編集
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英国紳士、エデンへ行く (プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジイ)(マシュー・ニール)
イギリス人らしい人の悪いユーモアに溢れた歴史小説が本書。
全574ページという大著だが、どんどこ引き込まれて、最後まで一気読み。 これは傑作。 2007年度出版の小説の中では、トップクラスの面白さといっていいと思う(もちろん、オレが読んだ中で)。
舞台は1857年のヴィクトリア朝英国。 英国植民地タスマニアに、アダムとイブが追放されたエデンの園があると信じた英国人3人組の遠征隊と、密輸で儲けるつもりがひょんなことから彼らをタスマニアまで運ぶことになった英国王室領マン島人船長の物語に、アボリジニの母親と白人の父親の間に生まれた少年の成長が絡んでくるというのが本書の骨子。
本書のタイトル──原書"English Passengers"、邦訳『英国紳士、エデンへ行く』──のになっている英国人3人組だが、リーダである英国国教牧師は単的に言って神懸かりのイカレポンチだし、リーダの座を虎視眈々と狙っている外科医は人種差別主義者、唯一まとまな若き植物学者も無気力な生活ぶりが祟って両親に無理矢理、探検行に放り込まれたという、いわくつきの者ばかり。 そんな彼らに、人の良いマン島人船長が翻弄される様は読んでいてニヤついてしまう出来だ。
一方、白人と先住民の混血である少年の視点からは、植民地化の過程で行なわれたアボリジニ同化政策がいかに非人間的なものかが明らかにされる。 いや、実際、アボリジニは人間ではないと考えられていたのだ。 先住民が虐殺やヨーロッパより持ち込まれた伝染病により人数を減らし、遂には滅亡へと至る姿は胸に迫ってくる。
本書では、上記の登場人物たちに加えて数多くの語り手たち(総勢なんと20名!)を登場させ、多角的な視点から物語が紡がれていく。 登場人物は多いが、それぞれがきっちり書き分けられているので、リーダビリティを損ねていない。著者の筆力の高さの現れといっていいだろう。人種差別の愚かさを浮き彫りにするブラック・ユーモアで締められるラストも良い。
植民地化における影という重い話題を扱いながらも、最後までユーモア小説の枠組みは崩さず、エンターテイメントに徹した著者の姿勢には拍手。
なお、ネタバレになるので詳しくは述べないが、『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』を本書とあわせて読むと、さらに楽しめるのではないかと思う。
_ メモ
- もう3月。
- 読書は『残虐行為記録保管所』が2/3くらい。他にも平行して読んでいるので読む進むのが遅い。
- 夜にフジテレビで放送した『それでもボクはやっていない』を見た。電車に乗っている時は、ほぼ常に読書をしていて両手がふさがっているので、痴漢の冤罪をかけられることはないと思っていたけど、オレの考えは甘いようだ。こわー。
- 今までルータ1〜2台のシンプルな構成のネットワーク構築ばかりだったんだけど、もうちょっとルータが増えそうなので、真面目にルーティングプロトコルを勉強する。もうRIP2は古くてOSPFぽい。
2008-03-02(Sun) [長年日記] この日を編集
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ダ・ヴィンチ天才の仕事―発明スケッチ32枚を完全復元(ドメニコ・ロレンツァ)
レオナルド・ダ・ヴィンチが残した発明品およびそのアイデアのスケッチをCG化し、そのメカニズムを推理、解説したのが本書。
レオナルドの天才ぶりを称える書籍は数あれど、本書のように、彼が考案した機械のメカニズムからその先進性を浮き彫りにするという切り口は珍しいのではないかと思う。 収録されている発明品は、空気スクリュー*1や外輪船といった乗り物から、大砲を代表とする兵器、クレーンなどの作業機械、楽器まで幅広く、その豊かな才能と共に、レオナルドがスケッチを通して紙上のシミュレーションを行なっていたということが理解できる一冊となっている。
読んでいて楽しい本なのだが、掲載されているCGがアニメーションしないので(当たり前)、動作が直感的には分からない点は玉に瑕。ここらへんが紙メディアの限界かなーとも思う。
ともあれ、CGの美しさは特筆できる出来なので、読んで損はないと思われ。
*1 有名なヘリコプターの原点と勘違いされているヤツね。
2008-03-03(Mon) [長年日記] この日を編集
_ 名作は色褪せず ──
検死審問―インクエスト (創元推理文庫 M ワ 1-1)(パーシヴァル・ワイルド)
東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。
劇作家パーシヴァル・ワイルドによるミステリー長篇が本書。溢れるユーモアと機知が楽しめる傑作だ。
原著は1940年に書かれ、それを読んだ江戸川乱歩が絶賛。「1935年以後のベスト・テン」の一作として本作を挙げている。それを受けて、1950年代には日本でも『検屍裁判』のタイトルで邦訳が3冊出版されたのだが、その後は長らく絶版状態にあった。復刊を望むファンの熱い声に応えて、翻訳も新たに出版されたのが本書なのだ。
タイトルにもなっている検死審問であるが、実際にアメリカに存在する司法制度とのこと。巻末の解説から引けば、「法に照らし合わせて罪の有無を決める場」ではなく、「あくまでも死因を法的に確定させるためのもの」だそうである。 さらに、本書の中で書かれていた内容も加味するならば、「裁判に提出する死因に関する参考意見を作成する場」とも言っていいかも知れない(法律に関してはド素人なので間違っているかも。念の為)。
本書のストーリーは、検死官リー・スローカム閣下と招集された検死陪審員6人による検死審問が開廷されたところからはじまる。 しかし、検死陪審員には殺人が起きたのかどころか、死亡したのが誰かさえ知らされておらず、死体すらない、なんとも不思議な検死審問なのだ。
当然、読者も訳が分からないまま、読み進めていくのであるが、証人による発言や供述書の朗読、検死官の発言により、徐々に事件の詳細が浮き彫りにされていく。 このストーリー展開は秀逸だ。 ネタバレになってしまうので詳しくは書けないが、実際に読んで堪能して頂きたい。
ストーリー展開が本書の読みどころであるならば、もうひとつの読みどころは、溢れるユーモアの数々だ。
まず、検死官のスローカムからして脱力系。 やたらと審議を引き延ばそうとするのだが、その理由というのも、検死陪審員には3ドルの日当、検死官には1ページの証言を聴取するごとに25セントが支給されるからというもの。 さらには、速記者にしてスローカムの娘が1ページを書き上げるまたは読み上げるごとに、10セントの手当が貰えるからという理由も挙げていて、公私混同も甚だしく笑ってしまう。
スローカムの異例づくめの審問進行に、ただひとり生真面目な陪審員イングリスが異を唱えるのだが、それに対する検死官の答えもおかしい。
法律では、わたしはなんでも好きにしていいとされている。
ちなみにこれは本当のことで、検死官は検死審判についてはどんなことも許される絶大な権力を持っていたとのこと。
ストーリー全体のかなりの部分を占める会話文もユーモラスだ。 たとえば、証人のひとりとの会話はこんな感じである。
証人 本人に会わせてくれ! あの男はどうなったんだ?
検死官 あててごらんなさい。
証人 あの男は──死んだのか?
検死官 一発であてましたね。
読んでいて思わず吹き出しそうになってしまった。
原著の出版から既に半世紀以上が過ぎているが、時代背景の古さ等がありながらも、本書の魅力は些かも衰えていない。「名作は色褪せない」。そんな言葉を実感させてくれる名著である。
なお、巻末の解説によれば、ワイルドによって、検死官リー・スローカムが登場する検死審問ものがもう一冊書かれており、そちらの邦訳も刊行予定とのこと。 こちらではイングリスが陪審員長に昇格し、大真面目に迷走しまくるストーリーということなので、今から出版が楽しみだ。
- パーシヴァル・ワイルド、越前 敏弥
- 東京創元社
- 882円
書評/ミステリ・サスペンス
2008-03-08(Sat) [長年日記] この日を編集
_ 一杯で二度おいしい──
ビールボーイズ(竹内 真)
東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。
ビール党にはたまらない一冊だ。 なにしろ、たぶん本邦初、もしかしたら世界初かも知れないビール青春小説が本書なのだ。 ビール好きであれば、読後にビールが飲みたくなること必至の傑作だ。
1983年、北海道の架空の町、新山市。 その日、使われなくなった納屋を利用した「秘密基地」には、12歳の仲間たち4人──正吉、広治郎、勇と、紅一点の薫が集まっていた。 市内のビール工場の閉鎖により同級生、茜が転校してしまった。 4人で、茜が転校することになった原因、憎っくきビールを飲み干してやるのだ! これが、後に第1回ビール祭と称され、彼らが新山産地ビール造りへと邁進することになるきっかけだった──というのが、本書冒頭のあらすじ。
その後、成長した彼らが30歳までの人生の折々に集まりビールを酌み交わしながら、夢を実現していく過程が爽やかな筆致で描かれていき、ビールのごとくすっきりした読み心地で最後まで楽しませてくれる。ラストの勇のセリフには、思わず涙腺が緩くなってしまった。
微妙に青春小説の定石を外した展開も上手い。たとえば、腕力に訴えるタイプの男勝りの少女として登場する薫だが、残りの少年たちの誰かとの間に恋愛感情が生じる、ありがちなストーリーを予想していたら、著者はあっと驚く仕掛けを繰り出してくる。「なるほど、こう来たか」と思わず唸らせられた。
各エピソードの合間に挿入されたビールコラムも、ビール好きならずとも知っておいて損のない蘊蓄が披瀝されていて◎(にじゅうまる)。 ビールが製法から2種類に分類できることは、本書で初めて知った。その2種類というのが上面発酵のエールと下面発酵のラガー。恥を忍んで告白しておくと、ラガーというのはブランド名だとすっかり思い込んでいました、はい。その他、古代から現代までの歴史や日英米のビール業界の現状まで知ることができるという、なかなかお得な内容になっている。ビールの自家醸造を法律で禁止している日本の現状について
太古の昔、ビールを造ることは文明の証だったが、現在においてもビールを造ることが文明の証でもあるのだ。(p.303)
と異を唱える著者の語りも熱くていい。小説とコラムをあわせて、一粒ならぬ一杯で二度おいしい本と言えるだろう。
なお、巻末の取材協力先のひとつとして挙げられている麦雑穀工房マイクロブルワリーは、実は自宅からそれほど離れていない場所にあるそうである。近いうちにエールを買いに行きたいと思う。どんな味がするのか今から楽しみだ。
最後に一言。 読了前には、冷やしたビールとグラスを用意しておくのをお忘れなく。
それでは、乾杯!
- 竹内 真
- 東京創元社
- 1785円
書評/国内純文学
_ shells/p5-Shell-Perlがcommitされたよ
http://www.jp.freebsd.org/cgi/cvsweb.cgi/ports/shells/p5-Shell-Perl/
でも、Devel::PERLの方が便利そげな感じ。><
_ メモ
- 今週は外回りの連続で、帰宅→晩飯→バタンキューの連続だった。PCを起動する元気もなし。
- もう若くないので、ムリなスケジューリングはダメですな。
- でも、移動時間が長いので読書は進んだ。『陸軍戦闘隊撃墜戦記』1・2をもうすぐ読み終えるので、次は読みさしになっている『残虐行為記録保管所』と、『MM9』あたりを読むかねー。あ、その前に『戦争の経済学』かな。
2008-03-09(Sun) [長年日記] この日を編集
_ ルーシー危機一髪!──
トウシューズはピンクだけ (創元推理文庫 M メ 2-2)(レスリー・メイヤー)
東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。
『メールオーダーはできません』に続く、メイン州の田舎町ティンカーズコーヴを舞台にしたコージーミステリー〈主婦探偵ルーシー・ストーン〉シリーズ第2弾が本書。
ストーリーは、前巻から約半年後からはじまる。 ルーシーは、妊娠6ヶ月の身重になっていた。通販会社の夜間オペレータは退職したものの、息子のリトルリーグに、娘たちのバレエ発表会と、やはり忙しい毎日を送っている。 そんな時、街の有名人である元バレエダンサーが愛犬を残し、突如、失踪してしまう。 周囲は心配するが、警察は事件性は薄いとして行方不明のまま捜査を打ち切ってしまった。 夫が止めるにもかかわらず、ルーシーは持ち前の好奇心から元バレエダンサーの手掛かりを追いはじめるのだが、またもや殺人事件に巻き込まれる事態に──。
前巻は、主婦の日常:7、ミステリー:3といった感じの配分のストーリーで、ミステリーとしては若干不満の残る内容だったが、本作ではDV(家庭内暴力)や子供への虐待という現代の病理をテーマとして扱っていて、物語にぐっと深みが増した。 また、善人の仮面をかぶったサイコヤローにルーシーが追い詰められてしまう「ルーシー危機一髪!」といった手に汗握る展開もあって、前巻には薄かったサスペンス要素も大幅増だ。
とは言え、「ご近所ミステリー」とも称されるコージーミステリーのシリーズだけあって、肩肘張らず読めるユルさは健在。 前巻のファンであれば、元バレエダンサーをはじめとして、前巻に登場したティンカーズコーヴの住人たちが立場を変えて再登場するストーリー展開を楽しめること請け合いだ。 ストーリー的に疑問な点もあるが(なんで、あいつはアルバムの存在に気付いたの?)、まずは一級のコージミステリーに仕上がっているといえるだろう。
蛇足ではあるが、『ルイザと女相続人』に登場のルイザ・オルコットの父親が参加していた、南北戦争以前に黒人奴隷の逃亡を援助した組織〈地下鉄道〉の話が本書でもちょろっと触れられていて、個人的にへぇと思ったことも書き添えておく。
訳者あとがきによれば、本シリーズ第3弾の邦訳は、今年の後半に刊行予定とのこと。 楽しみに待ちたい。
- レスリー・メイヤー
- 東京創元社
- 924円
書評/ミステリ・サスペンス
2008-03-10(Mon) [長年日記] この日を編集
_ Polipo + Firefoxを使ってみた
結果から言うと、「Polipo、すげー。まだの人はぜひ導入すべき」ってな感じ。
Polipoの効果が特に実感できたのが、tumblrに貼ってある画像ファイルの読み込みスピードの速さ。 今まで読み込みが遅くてかなりストレスが溜まっていたんだけど、非常に快適になった。 *1
Polipoのインストールや設定は、しげふみさんの以下のエントリーの通り。
ただ、しげふみさんは
前の記事で www.google-analytics.com の件がありましたが、uncachable.txt に記述しなくても問題無いので、気のせいだったということにしておきます。
と書かれているが、手元の環境ではwww.google-analytics.comで止まる現象が起きたので、uncachable.txtに
^http://www\.google-analytics\.com/
を追加した。
また、Firefoxのプロキシ設定にはFoxyProxyを使った。
FoxyProxyの設定はこんな感じで。
- 全般
- プロキシ名:polipo
- プロキシ詳細
- 手動プロキシ設定
- ホスト名:127.0.0.1
- ポート:8123
- パターン
- パターン名:matchall
- URLパターン:*
- URLの包括と排除:ホワイトリスト
- Pattern Contains:ワイルドカード
- パターン名:ftp
- URLパターン:ftp://*
- URLの包括と排除:ブラックリスト
- Pattern Contains:ワイルドカード
- パターン名:matchall
portsにもなっているらしいので、FreeBSDマシンでも使ってみようと思う。
2008/3/19追記
FoxyProxyの設定にftpを除外する設定を書き足した。
*1 tumblrはAmazon S3を使っているらしいので、他のS3使用サービスでも効果がある?
2008-03-11(Tue) [長年日記] この日を編集
_ メモ
- 今日は昼間、えれー陽気でした。
- 連日の外回りで疲れ気味。どうにも可愛い女性には弱くて、余計な仕事まで請け負ってしまう。困ったもんだ。
- 読書は『戦争の経済学』がもうちょいで読了。次は『MM9』を読むよ。
- しかし、『戦争の経済学』で扱われている経済学って初歩の初歩らしいけど、知らんことが多くて、どれだけ無知か再認識させられる。ヘコむね。
クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム (ログインテーブルトークRPGシリーズ)(スコット・アニオロフスキーほか)を買おうかどうか迷い中。高いから迷うわー。どうせ読む時間ないし、週末まで考えるけど、買っちゃうんだろうな、オレ。
2008-03-12(Wed) [長年日記] この日を編集
_ 今まで誰も描かなかったイスラームにおける性──
神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く(石井 光太)
外からは窺い知れないイスラーム圏の様々な性を探ったルポルタージュが本書。
避妊具を着けることを頼んだだけで「恋人」に石で殴られるジャカルタの街娼の少女、生きるために春をひさぐ路上生活の少年少女たち、混乱の真っ只中にあるイラクからヨルダンに出稼ぎにきてナイトクラブで働く女性、華やかな夜の世界から睡眠強盗にまで身を落としてしまうマレーシアのトランスジェンダーの女性、娼婦になるために不妊手術を受けるインドの女性など、様々な人間模様が綴られる。
その中でも特に衝撃を受けたのが、ビルマ人の老人の独り語りという形式で書かれた「問わず語り」だ。 夫婦のささやかな幸せ生活が進駐した日本軍兵士の蛮行により切り裂かれてしまうという内容には、日本人として、また同じ家庭を持つ人間として胸が締め付けられる。
「問わず語り」が代表するように、ノンフィクションというよりは小説を思わせる文体や、いささか青臭すぎる正義感など、違和感を覚えるところもあるが、今まで誰も描こうとしなかった世界に入り込んだという意味で貴重な一冊だ。著者の今後の作品にも期待したい。
なお、巻末の
本書の内容から、登場人物のプライバシーに配慮し、一部事実を変えている箇所があります。ご了承ください。
という断り書きは「ノンフィクションなのに、なんで?」とかなり疑問を覚えるものだったのだが、やはり同じ感想を持った人がいるようで、著者のblogのエントリー、読者からの質問にその疑問に対する返答が書いてあった。 著者の取材姿勢を理解できる内容となっているので、その他のエントリー、
とともに読むことをオススメしておく。
参考
_ メモ
- あいかわらずの外回り。歩きすぎて足の裏が痛い。
- 『戦争の経済学』読了。面白かった。厚いわりに、活字がデカいのでさくさく読める。
- うは。S-Fマガジン12月号を読んでなかった。ってことで、今日から読む。どうもジャンゴーレの話が繋がらないと思ったんだよなー(ぉ
2008-03-13(Thu) [長年日記] この日を編集
_ 中国戦線における陸軍航空隊の戦いの実態──
中国大陸の隼戦闘隊―1943-45年 飛行第25戦隊と48戦隊 (陸軍戦闘隊撃墜戦記 1)(梅本 弘) &
中国大陸の鍾馗と疾風―1943-45年 飛行第9戦隊と85戦隊 (陸軍戦闘隊撃墜戦記 2)(梅本 弘)
同時期の太平洋戦線と比較するとぐっと資料が少なくなる、昭和18年から20年までの中国大陸における航空戦を扱っているのが本書。 日米中の資料を相互に照合し、本当の戦果を探って陸軍航空隊の戦いの実態を浮き彫りにしている。まさに労作の名にふさわしい本だ。
現在シリーズとして2冊が発刊されている。1巻では一式戦闘機「隼」を装備した飛行第25戦隊と48戦隊、2巻では二式単座戦闘機「鍾馗」と四式戦闘機「疾風」を装備した9戦隊と85戦隊をクローズアップしている。
本書を読んで意外だったのが、米中の空軍に手もなくやられてしまったと思い込んでいた陸軍航空隊の善戦ぶりだ。 まぁ、「善戦」と称するかどうかは読者の判断によって異なってくるとは思うが、電波警戒機(レーダー)を利用した邀撃を積極的に行ない、強敵P-51を含む敵機を数多く撃墜し、終戦まで一定の練度を保ったという点を見れば、互角に近い戦いをしていたと評してもいいのではないかと思う。
しかし、撃墜数がそれほど変わらないにもかかわず、米中のパイロットの戦死者数は、日本側の空中勤務者(パイロット)と比べて格段に少ない。著者は、米中の人的損失が少ない理由をこう分析している。
米国戦闘機の防弾の寄さ、頑丈さと、生還しようという決意、そしてあくまでも操縦者の救出を試みる米軍と中国軍便衣隊(引用者註:ゲリラ)の活躍による成果である。彼らは日本軍占領地内に降下した操縦者ですらしばしば救出している。(1巻、p.72)
たとえば、米軍は、空戦後に燃料切れで胴体着陸し重傷を負ったパイロットを救出すべく軍医を落下傘降下させている。 また、パイロット救出のために便衣隊に支払う報奨金が足りなくなり司令官クレア・リー・シェンノート自ら中国の将軍に借金を申し込んだという。 いかに米軍が人的リソースを重視していたかを証明するエピソードだ。
翻って、この人的リソースを大切にしなかったということが、日本軍の最大の欠点と言えるのではないか。 空中勤務者は一朝一夕に育てられる訳ではないのに(当時の国力を考えれば、なおさらだ)、簡単に死なせてしまったというところに、軍の先見性のなさが如実に表われている。そんなことを考えさせられた。
その他、在中の駐留米軍兵士が地元の婦女子に対して暴行事件を度々起こしており、それに飛行場建設のため土地を奪われた農民の怒りが加わって暴動に発展したいう事件についても書かれていて興味深い。
本書の焦点は、あくまでも空戦自体に絞られており、パイロットたちの人間模様といった点にはほとんど触れられていない。 そのため、純粋に読み物としては、同じ中国大陸での航空戦を扱った 『中国的天空』(中山雅洋) の方が楽しめると思われるのだが、知られざる戦いを明らかにしたという点では貴重な本だ。 中国大陸の空の戦いに興味がある向きには一も二もなくオススメしたい。
最後に、本書の不満点も書いておこう。それは、なんといっても値段が高いこと。 約100ページ程度の分量にもかかわらず、1冊2940円(税込)という価格は、値段が高くて有名な大日本絵画の軍事書籍といえども高すぎる。 1、2巻の2冊をそろえれば、それだけでもう6000円近いのだ。 ここは1冊2000円以内に抑えるか、それが無理であれば、2冊を1冊にまとめて4515円(税込)程度にして欲しかったところだ。 内容が良いだけに、ここは非常に残念な点である。
2008-03-15(Sat) [長年日記] この日を編集
_ 戦争を経済から斬る!──
戦争の経済学(ポール・ポースト)
各所で話題になっていたので読んでみたのだが、これはスゴイ本。
戦争を「巨大公共投資」と見なし、経済学的なアプローチで読み解こうとしている意欲作が本書。
硬そうなタイトルと全430ページという厚さにたじろぐ向きもあるかも知れないが、扱っている内容は経済学の初心者でも充分理解できる易しさだし(なにしろオレが分かったくらいだ!)、活字も大きいのでさくさく読み進めることができる。 ぶっちゃけ、図表や「点Aから点Bに移動すると〜となり、これをウンタラ曲線」云々というフレーズあたりの難しい部分は、読み飛ばしちゃってもOKだったりする。
それなりに長い間、軍事オタクをやっているが(わりに、水たまりのように浅い知識だが)、のっけから著者が提示する「戦争にかかる費用は年々安くなってきている」という視点には、目からウロコ。考えてみれば、軍事における革命(RMA)にしろ、本書においても触れられている民間軍事会社(PMC)にしろ、
「いかに効率良く戦争を遂行するか」==「いかに安く戦争を遂行するか」
を目的にしている訳なので、当然なのだ。これじゃ、軍事オンチのマスコミを笑えないよなーと、ちょっと恥ずかしくなってしまった。
だからといって、現在の戦争が過去の戦争と比べて「儲かる」ようになったかと言えば、全然逆で、経済的損失が大きくなってきているというのが本書の骨子なのだが、詳しくは本書を参照のこと。
戦争そのものに関する考察の他、本書では、軍隊における徴兵制と志願制の経済学的比較や、兵器調達の事例研究としての「統合攻撃戦闘機(JSF)」、自爆テロが起こるメカニズムなども解説しており、非常に示唆に富む内容となっている。さらには、邦訳版だけのボーナストラックとして、訳者(山形浩生)による日露戦争と自衛隊のイラク派兵に関する収支考察も含まれていて、これで1890円(税込)という価格は、お買い得といえるだろう。
心理学から戦争を読み解いた『戦争における「人殺し」の心理学』や、経営学から日本軍を考察した『失敗の本質』と並び、今後、戦争の本質を考える上で欠かせない一冊になるのではないかと思う。イチオシ。
本書で興味深かったことをメモしておく。
- アメリカの戦車生産台数は、1918〜1933年で35台、1940年には309台、1943年には2万9500台。第二次世界大戦中には、のべ8万8430台。それに対し、イギリスは2万4800台、ドイツは2万4050台を生産した。(p.69)
- アメリカ軍における戦闘/支援部隊の比率は非常に低い。たとえば2002年度には、陸軍では戦闘兵6万に対し、支援要員47万。空軍では1万6000人のパイロットに対し、支援要員は36万。(p.121)
- 基地閉鎖にともなう地域コミュニティに与える経済的打撃は、僻地であれば大きいが、そうでない場合はそれほどでもない。(p.127-131) ← 良い悪いは別として、沖縄の在日米軍が撤退した時の経済的損失を考えてみると興味深い。
- 徴兵制は軍隊の人材確保費用を引き下げる。それで浮いた防衛予算を福祉に回すため、スカンジナビア諸国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)は徴兵制を敷いている。(p.176)
なお、最後になるが誤植らしきものを発見。p.235に載せられている国防省日次契約報告書の
BAEシステムズ手無
って、
BAEシステムズ・テネシー
あたりの間違いじゃなかろうか。
_
S-Fマガジン 2007年 12月号 [雑誌]
この号を飛ばしてしまっていて、今頃、読んだ。なんだか「罪火大戦ジャンゴーレ」の話が繋がらないなぁーとは思っていたんだけど、放置してしまっていたよ。
クリスマスSF特集ということなんだけども、あまり楽しめる作品はなかったかな。期待していたコニー・ウィリスの「ニュースレター」も、発表当時(97年)なら斬新だったんだろうが、今となっては手垢のついたネタだしなぁ。まぁ、スラップスティックなところは面白かったけど。
「家・街・人の科学技術」で取り上げられた新幹線N700系の、独特の先頭形状が遺伝的アルゴリズムで設計されたというのは、へぇという感じだった。
2008-03-16(Sun) [長年日記] この日を編集
_ 怪獣オタク趣味爆発な傑作SF──
MM9(山本 弘)
しばらく積ん読にしておいたのだが、読んでみたらめちゃくちゃ面白くて一気読み。これは大傑作ですよ。
怪獣が実在し、自然災害として見なされている世界を舞台にした怪獣+SF小説が本書。
世界有数の「怪獣大国」である日本において、怪獣に敢然と立ち向かうスペシャリストたちが、科学特捜隊(通称「科特隊」)ならぬ、気象庁特異生物対策部(通称「気特対」)だ!──という、山本弘の怪獣オタク趣味が大爆発な作品なのだが、元ネタを知らない人でもちゃんと楽しめるエンターテイメントに仕上がっているのは素晴しい。怪獣を真面目に考察して、それを成立させるのに多重人間原理を持ち出してくるあたりも、SF作家の面目躍如たるものがある。
さらに、ちょっとネタバレだが、クトゥルフ神話が入ってくるのも、クトたん好きとしては嬉しいところ。*1原典ではいまいち意味不明だった〈旧神〉や〈旧支配者〉という固有名詞にきちんと意味を持たせたのには、さすが『クトゥルフ・ハンドブック』を上梓した著者だけのことはあると感心させられた。
気特対は、あくまでも怪獣出現の予報と退治の計画立案だけで、実際の戦闘は自衛隊が受け持つという設定になっているのだが、この世界では自衛隊も結構、人気の職業になっているかも知れないと思ったり。小学生の「なりたい職業」の上位に食い込んだりとかね。
ラストできれいに収斂している作品なので、ちと野暮かも知れないが、一読者としては続篇やスピンオフにも期待したい。
なお、なにかと裸の少女を登場させることで有名な著者だが、本作でも全裸の少女が大活躍しているぞ(怪獣だけど)。 映画化の障害というのは同意(笑)。
*1 ウルトラマンティガでもクトゥルフ・ネタを使っていたらしいので、その影響もあるかも知れない。
2008-03-19(Wed) [長年日記] この日を編集
_ アーサー・C・クラーク御大逝く
合掌。
享年90歳ということで、大往生といってもいいとは思う。
『楽園の泉』は、まだ蔵書を積めたダンボールに入っていると思うので、こんど掘り出して読み直そうか。
オレが生きている間に、軌道エレベータが実現すればいいなぁ。
_ 第2の人生をハードボイルドに生きる──
木野塚探偵事務所だ (創元推理文庫 M ひ 3-10)(樋口 有介)
東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。
37年間奉職した警視庁を定年退職し、長年の夢だった探偵事務所を開設した木野塚佐平氏と秘書兼助手の梅谷桃世が活躍(?)する連作短篇集が本書。
本書に収録されているのは、下記の5篇。
- 「名探偵誕生」
- 「木野塚氏誘拐事件を解決する」
- 「男はみんな恋をする」
- 「菊花刺殺事件」
- 「木野塚氏初恋の想い出に慟哭する」
警視庁に勤めていたとはいえ、実は木野塚氏は事務一筋の経理人間。 一度、警視総監賞を授与されたこともあるが、捜査とはなんの関係もない、経理事務へのコンピュータ導入を評価されてのものだったりする。
そんな彼が私立探偵になろうと決意した切っ掛けというのが、リュウ・アーチャーやフィリップ・マーロウ、マイク・ハマーらタフな私立探偵が活躍する小説にハマったためだ。 彼は自分の「臆病で行動力に乏しく、信念や意志力も無縁に生きてきた」人生と「人生における最大の失敗だった」と結論付ける夫人との結婚を反省し、残りの日々をハードボイルドな探偵として生きることを決意する。
ただ、はっきり言って、木野塚氏、憧れが強すぎるばかりに、その思いはまったく地に足が着いていない。
男と生まれたからには、一度でいいから、心から情熱を燃やせる生き方をしてみたい。納得できる仕事で人生を完結させたい。警察が見放した難事件を解決して週刊誌にのってみたい。テレビのワイドショーにも出演して、専門家の立場から保険金殺人の解説をし、それにできたら、ついでにワイドショーの美人キャスターと不倫だってしてみたい。(p.16)
などと夢想してしまうのだ。
しかし、そんな妄想じみた思いと裏腹に、彼の元に迷い込む数少ない依頼は、金魚の誘拐事件にはじまり、犬の恋愛騒動、菊の殺人ならぬ殺菊事件、猫の失踪事件と珍事件ばかり。 ハードボイルドに生きることの困難さを嘆きながら、ひょんことから秘書兼助手として採用した梅谷桃世を伴い、木野塚氏は入れ歯の奥歯を噛みしめながら事件に飛び込んでいく、というのが本書の骨子。
迷推理や珍質問を飛ばしまくったあげく、秘書兼助手の桃世の名推理や的確な質問を聞いて「助手の推理はすなわち所長の推理である」や「たった今質問しようと思っていた」とうそぶく木野塚氏がなんともおかしくて、「どこがハードボイルドやねん!」とツッコみつつ、ニヤニヤしながら読んでいたのだが、最終話「木野塚氏初恋の想い出に慟哭する」が木野塚氏のキャラと似合わない、なんとも物悲しいラストで締められていて、思わずほろっときてしまった。
引退後には南国で悠々自適の生活を送るというのライフプランを見聞するが、高齢者がどんどん増えていく日本社会においては、木野塚氏のように世のため人のため第2の人生を意欲的に生きるというのも良いんじゃないかなぁと思ったりした(木野塚氏がどれだけ世のため人のための役に立つかは別として)。
なお、2002年に単行本として上梓された続篇『木野塚佐平の挑戦』も創元推理文庫に収められる予定とのことだ。 期待して待ちたい。
- 樋口 有介
- 東京創元社
- 672円
書評/国内純文学
2008-03-21(Fri) [長年日記] この日を編集
_ メモ
- 読書は『エニグマ・コード』を読了。めちゃくちゃ面白かった。あとで感想を書く。
- 現在、読み途中なのは『ザ・テラー』(上巻の半分くらい)、ナンシー・ドルーものの第2巻(半分)、あと「本の雑誌」と「S-Fマガジン」がちょこちょこ。
- チベット暴動。不謹慎だが、『遥かなり神々の座』、『神々の座を越えて』あたりを思い出したり。
遙かなり神々の座 (ハヤカワ文庫JA)
早川書房
¥ 714
2008-03-22(Sat) [長年日記] この日を編集
_
本の雑誌 2008年2月号296号ちゃんちゃんこ暗躍号
2、3、4月号と、3冊続けて積ん読になっているので、慌てて消化。
以下、記事の感想をつらつらと。
「大坪直行ロングインタビュー」
大坪氏については、オレは全然知らなかったんだけども、「戦後ミステリーの草創に携わった編集者」で「乱歩の腹心として『宝石』を支え、誌名ともども光文社に移籍した」人らしい。
色々なエピソードが紹介されているが、その中でも松本清張の担当だった時に、松本清張から受けた嫌がらせが笑える。「原稿が出来たから取りに来い」と、決まって土日の夜から朝方にかけて何度も来させたとのこと。その度に原稿用紙を1枚ずつ渡されるっていうんだから頭にくるよなあ。
まぁ、その原因というのも、以前、大坪氏が『砂の器』をけっちょんけちょんにした書評を匿名で新聞に書いたことがバレたのが原因らしいんだけど。
「ミーツへの道」(江弘毅)
今号からの新連載(だと思う)。「ミーツ・リージョナル」という月刊誌ができるまでの歴史を追うみたいな感じだろうか。
正直なところ、「ミーツ」には興味がないんだけど、だんじり祭りの日には学校が休みになるという「ハードコアな」中学校はすげぇな、と思った。
「古本屋のセドロー君の午後」(向井透史)
今後しばらくは寝る前に徹子の部屋に通うことにした。待っていろ、徹子。
に爆笑。
「歩く旅」(沢野ひとし)
この思わせぶりなラストで、次号に続かないというんだからヒドイ!
_
本の雑誌 297号 イカ丼助太刀号 (297)
2月号に続けて読み。
書店員や書評家、編集者など、本をなりわりにする人たちによる「失敗」をネタにした座談会、特集「活字の大失敗!」が面白かった。
締切日に仕事用のパソコンが壊れて、ネットカフェで原稿を書いていたら、再起動で保存したファイルが飛んだ、という話に笑った。ネットカフェって再起動なり電源を切るなりすると、全部ファイルが初期化されるとのこと。行ったことがないんで知らかったんだけど、まぁ、そうだろうなぁ。
で、店員に半泣きになりながら復元を頼むけど、どうにもならないと言われ、担当に電話したら「大変ですねえ」と冷やかに対応されたとのこと。まぁ、誰でも嘘と思うわな。
その他、締切りに遅れる言い訳に「手をやけどした」というのを使いまくっていたら、「「今度は右手ですか左手ですか」と言われたとか、本をダブって買う(オレも両方「上」を買った経験あり)、ISBNコードを付け間違えたなど、おかしいネタが多かった。
本に関するオレ的失敗というと、
- 夢中になりすぎて降車駅を乗り過ごす(まぁ、デフォやね)。
- 電車内の席で本を読んでいたら、眠りこけて本を落とし、汚してしまう。
くらいかなー。
_ ナンシー・ドルー = 花形満?──
幽霊屋敷の謎 (創元推理文庫―ナンシー・ドルーミステリ (Mキ5-2))(渡辺 庸子/キャロリン・キーン)
東京創元社様より本が好き!経由で献本御礼。
『古時計の秘密』に続く、〈少女探偵ナンシー・ドルー〉シリーズ第2弾が本書。 ナンシーが友人ヘレンから受けたヘレンの大叔母が住む屋敷に出没する幽霊の調査依頼に、鉄道鉄橋建設のための用地買収が絡むというのが本書のストーリー。 前作と同様、勧善懲悪なストーリーで、良い人はどこまでいっても後ろ暗いことは何も隠していない善人で、あからさまに悪い人はやっぱり悪人という、誰にも勘違いしようがない単純明快な展開になっている。
本書のタイトルにもなっている幽霊屋敷の方は、早々と何者かが隠し通路で侵入しているのではないかという話になり、ナンシーが隠し通路を探し回るというのが骨子。 こうなると『屋根裏の散歩者』ばりの展開を考えてしまうんだけど、そうはならないのは、本シリーズならではか。 まぁ、児童文学だからねぇ。
もう一方の鉄橋建設については、弁護士であるナンシーの父親が鉄道会社のために働き、地代の値上げを要求する地主と交渉するうちに危険に巻き込まれるという内容になっている。現在であれば、
無理な土地買収を行なう大企業(悪) vs 地主 + 弁護士(善)
というストーリーが普通なので、ここらへん、当時の世相が垣間見えて興味深い。
公共事業 = 善
という見方だったのだろう。
この二つの話がリンクして一つになるのかと思いきや、まぁ、繋がることは繋がるのだが、なんだか無理やり感漂う繋げ方なのはご愛嬌。
その他、あまりにも物分かりが良すぎる警察関係者や、 ナンシーと一言喋っただけで改心してしまう脅迫されていた人や悪人、 ナンシーとヘレンの視点があまりにもシームレスに変わってしまうことなど、ツッコミたくなる所はあるのだが、まぁ、そこを突っつくのは野暮というものなんでしょうなぁ。
児童文学であるがゆえに、大人が読んで楽しめるかといえば、正直なところ、辛い内容だが、身の周りのお子さんをミステリー方面に洗脳転ばせるための英才教育の教材としては良い本じゃないだろうかと思う。
やっぱり幼少からの刷り込みが大事だしね。
最後に、前作からの疑問が本書を読んで解けたので書いておく。 というのも、原著の執筆当時(1930年)、18歳の女の子がコンバーチブルを乗り回すというのがどれだけリアリティを持っていたかということが疑問だったのだ。 本書の訳者あとがきによれば、それは良妻賢母を是とする当時のアメリカの空気への一種のアンチテーゼで、それゆえ少女たちに憧れの対象として読まれたようだ。つまりは、
コンバーチブルを駆るナンシー・ドルー = 小学生の分際で車を乗り回す花形満
ってことなんだね。え、違う?
- キャロリン・キーン
- 東京創元社
- 693円
書評/ミステリ・サスペンス





_ 米軍大差 [ビルマ航空戦から思ってましたが陸軍の隼はやはり精強ですね。あと大陸のP-40は異常に強い感じもします。 零戦も..]
_ poppen [たしかに精強だと思いました。 > 隼&P-40 熟れた機体だけにパイロットの「慣れ」の面が大きいのかなとなんとなく..]