ぽっぺん日記@karashi.org
2008-03-01(Sat) [長年日記]
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英国紳士、エデンへ行く (プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジイ)(マシュー・ニール)
イギリス人らしい人の悪いユーモアに溢れた歴史小説が本書。
全574ページという大著だが、どんどこ引き込まれて、最後まで一気読み。 これは傑作。 2007年度出版の小説の中では、トップクラスの面白さといっていいと思う(もちろん、オレが読んだ中で)。
舞台は1857年のヴィクトリア朝英国。 英国植民地タスマニアに、アダムとイブが追放されたエデンの園があると信じた英国人3人組の遠征隊と、密輸で儲けるつもりがひょんなことから彼らをタスマニアまで運ぶことになった英国王室領マン島人船長の物語に、アボリジニの母親と白人の父親の間に生まれた少年の成長が絡んでくるというのが本書の骨子。
本書のタイトル──原書"English Passengers"、邦訳『英国紳士、エデンへ行く』──のになっている英国人3人組だが、リーダである英国国教牧師は単的に言って神懸かりのイカレポンチだし、リーダの座を虎視眈々と狙っている外科医は人種差別主義者、唯一まとまな若き植物学者も無気力な生活ぶりが祟って両親に無理矢理、探検行に放り込まれたという、いわくつきの者ばかり。 そんな彼らに、人の良いマン島人船長が翻弄される様は読んでいてニヤついてしまう出来だ。
一方、白人と先住民の混血である少年の視点からは、植民地化の過程で行なわれたアボリジニ同化政策がいかに非人間的なものかが明らかにされる。 いや、実際、アボリジニは人間ではないと考えられていたのだ。 先住民が虐殺やヨーロッパより持ち込まれた伝染病により人数を減らし、遂には滅亡へと至る姿は胸に迫ってくる。
本書では、上記の登場人物たちに加えて数多くの語り手たち(総勢なんと20名!)を登場させ、多角的な視点から物語が紡がれていく。 登場人物は多いが、それぞれがきっちり書き分けられているので、リーダビリティを損ねていない。著者の筆力の高さの現れといっていいだろう。人種差別の愚かさを浮き彫りにするブラック・ユーモアで締められるラストも良い。
植民地化における影という重い話題を扱いながらも、最後までユーモア小説の枠組みは崩さず、エンターテイメントに徹した著者の姿勢には拍手。
なお、ネタバレになるので詳しくは述べないが、『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』を本書とあわせて読むと、さらに楽しめるのではないかと思う。
_ メモ
- もう3月。
- 読書は『残虐行為記録保管所』が2/3くらい。他にも平行して読んでいるので読む進むのが遅い。
- 夜にフジテレビで放送した『それでもボクはやっていない』を見た。電車に乗っている時は、ほぼ常に読書をしていて両手がふさがっているので、痴漢の冤罪をかけられることはないと思っていたけど、オレの考えは甘いようだ。こわー。
- 今までルータ1〜2台のシンプルな構成のネットワーク構築ばかりだったんだけど、もうちょっとルータが増えそうなので、真面目にルーティングプロトコルを勉強する。もうRIP2は古くてOSPFぽい。



まで頂ければ幸いです。
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