ぽっぺん日記@karashi.org
2008-03-12(Wed) [長年日記]
_ 今まで誰も描かなかったイスラームにおける性──
神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く(石井 光太)
外からは窺い知れないイスラーム圏の様々な性を探ったルポルタージュが本書。
避妊具を着けることを頼んだだけで「恋人」に石で殴られるジャカルタの街娼の少女、生きるために春をひさぐ路上生活の少年少女たち、混乱の真っ只中にあるイラクからヨルダンに出稼ぎにきてナイトクラブで働く女性、華やかな夜の世界から睡眠強盗にまで身を落としてしまうマレーシアのトランスジェンダーの女性、娼婦になるために不妊手術を受けるインドの女性など、様々な人間模様が綴られる。
その中でも特に衝撃を受けたのが、ビルマ人の老人の独り語りという形式で書かれた「問わず語り」だ。 夫婦のささやかな幸せ生活が進駐した日本軍兵士の蛮行により切り裂かれてしまうという内容には、日本人として、また同じ家庭を持つ人間として胸が締め付けられる。
「問わず語り」が代表するように、ノンフィクションというよりは小説を思わせる文体や、いささか青臭すぎる正義感など、違和感を覚えるところもあるが、今まで誰も描こうとしなかった世界に入り込んだという意味で貴重な一冊だ。著者の今後の作品にも期待したい。
なお、巻末の
本書の内容から、登場人物のプライバシーに配慮し、一部事実を変えている箇所があります。ご了承ください。
という断り書きは「ノンフィクションなのに、なんで?」とかなり疑問を覚えるものだったのだが、やはり同じ感想を持った人がいるようで、著者のblogのエントリー、読者からの質問にその疑問に対する返答が書いてあった。 著者の取材姿勢を理解できる内容となっているので、その他のエントリー、
とともに読むことをオススメしておく。
参考
_ メモ
- あいかわらずの外回り。歩きすぎて足の裏が痛い。
- 『戦争の経済学』読了。面白かった。厚いわりに、活字がデカいのでさくさく読める。
- うは。S-Fマガジン12月号を読んでなかった。ってことで、今日から読む。どうもジャンゴーレの話が繋がらないと思ったんだよなー(ぉ
[ツッコミを入れる]
[]
本日のPingbacks(全0件)


まで頂ければ幸いです。
叛逆としての科学―本を語り、文化を読む22章(フリーマン・ダイソン)
ゲバルト時代 SINCE1966-1973 あるヘタレ過激派活動家の青春(中野正夫)