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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-03-28(Fri) [長年日記]

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_ シモンズの多芸ぶりが堪能できる傑作──ザ・テラー―極北の恐怖 (上) (ハヤカワ文庫 NV (1156))(嶋田 洋一/ダン・シモンズ) ザ・テラー―極北の恐怖 (上) (ハヤカワ文庫 NV (1156))(嶋田 洋一/ダン・シモンズ)ザ・テラー―極北の恐怖 (下) (ハヤカワ文庫 NV (1157))(ダン・シモンズ) ザ・テラー―極北の恐怖 (下) (ハヤカワ文庫 NV (1157))(ダン・シモンズ)

大西洋と太平洋を結ぶ北西航路発見のため、イギリスより〈エレバス〉と〈テラー〉の2隻の軍艦で北極に向かった末に消息を断ったサー・ジョン・フランクリン率いる探検隊をテーマにしたダン・シモンズのホラー小説。

全滅という運命に見舞われたフランクリン探検隊はそれだけでも悲劇ではあるのだが、しかし、それだけでは終わらないのがストーリーテラー、シモンズだ。 大胆な想像力と怪物という超自然的要素を加えて、読み応えのある作品に仕上げている。

19世紀半ばの北極という馴染みのない舞台で展開される物語のため、時代背景や北極の地名を掴むのに骨が折れ、最初のうちはなかなか波に乗って読むことができなかったのだが、上巻も後半に入ると、シモンズの巧みな筆致にぐいぐい引っ張られて、読書スピードが上がる上がる。 下巻なんて、あまりの面白さに一晩で読み終えてしまいましたよ(で、翌日、寝不足。うひ)。

隊員たちが怪物にゴンゴン殺されていき、ラストは〈テラー〉艦長クロウジャーと怪物のガチンコ対決になるのかなぁ、なんてことを考えながら読んでいたら、怪物よりも極寒や飢餓、病などが原因となって次々に彼らが倒れていくという、こちらの予想の斜め上をいく展開で、ホラーというよりは冒険小説になってしまうが、まぁ、そこらへんは固いいこといいっこなし。 楽しめることについては太鼓判を押せる傑作であることは間違いない。

ホラー要素が薄いとはいえ、自然の猛威や怪物よりも人間の方がずっと恐ろしいことを浮き彫りにするあたりは、ホラー出身であるシモンズの面目躍如たるところといってもいいだろう。

また、最近、地球温暖化により北極の氷が縮小し北西航路が開通したが、それと絡めて、超自然の存在である怪物でさえ地球温暖化には抵抗することができないという暗示を作中に挿入するところもさすがである。

〈ハイペリオン〉シリーズなどと同じく、シモンズの多芸ぶりが堪能できる作品だ。イチオシ。

最後に、文庫にして1100ページ強という長い小説にも関わらず、原著の出版と同じ2007年に邦訳を完成させ出版まで成し遂げた訳者と出版社の努力に拍手を贈りたい。 *1

あわせて読みたい

本書には史実のフランクリン探検隊についての解説がないので、本書の読前または読後に、下記のリンク先を読むことをオススメ。 シモンズがどう史実を料理したかが理解できるのではないかと思う。

クロウジャーの幻視に登場するフォックス姉妹についてはフォックス姉妹のほか、『幽霊を捕まえようとした科学者たち』を、 ヴァン・ディーメンス・ランド(タスマニア)については『英国紳士、エデンに行く』を読むことをオススメしたい。

フォックス姉妹と同じく、クロウジャーの幻視するドクター・ケインが誰だか分からないので、知っている人がいれば教えて頂けると幸いです。


幽霊を捕まえようとした科学者たち 幽霊を捕まえようとした科学者たち
デボラ・ブラム
文藝春秋
¥ 2,600

英国紳士、エデンへ行く (プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジイ) 英国紳士、エデンへ行く (プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジイ)
マシュー・ニール
早川書房
¥ 2,625

*1 訳者あとがきによれば、ワールドコンNippon2007と重なったため、かなりの強行スケジュールだったようだが。

_ It's All Text!がFirefox 3 beta 4にも対応した

https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/4125

うひ。これでFirefox 3 beta 4でもvim使えるぜ。

もう、これで常用ブラウザにしてもいいなぁ。Firefox 2に比べると、ちょっと落ちやすいけど。

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