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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-03-31(Mon) [長年日記]

_ 佐藤優の青春時代を綴った一冊──私のマルクス(佐藤 優) 私のマルクス(佐藤 優)

飛ぶ鳥を落とす勢いで著作を上梓している佐藤優の自伝が本書。

元になった文藝春秋「文學界」の連載が現在も続いているということで、本書に収められているのは、著者が埼玉県随一の進学校、県立浦和高校を経て同志社大学神学部に進み、同大学大学院神学研究科を卒業するところまで。

本書では、佐藤優がどのようにして左翼思想にのめり込んだかとともに、一般人からするとそれの正反対とも思える神学をなぜ志したが書かれていて、なかなか興味深かったのだが、全体に関して感想を書けば、今イチぴんとこなかったというのが正直なところだ。

その理由というのが、本書の中で幾度となく言及されるチェコスロバキアの神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカはもちろんのこと、カール・マルクスの『資本論』をはじめとする哲学書を全然読んだことがないということが大きいのだが、それと以上に、著者が大学で携わることになる学生運動にまったく共感できなかったせいだろうと思う。

大学の移転反対のデモを行なったり、左翼同士で内ゲバやったりしているのだが、著者が本書の中でも書いている通り、

当事者たちにとっては深刻な問題であるが、第三者にとっては、何が真実の争点なのか、まったく理解できないような諍い(p.204)

としか思えなかったのだ。 著者が思想や哲学について仲間と夜を徹して語り合うことも含めて、「今の大学生に比べて昔の大学生は頭が良かった」と見るよりは、当時の流行として捉える方がいいのではないかという気がする。

とはいえ、著者が高校在学中に東欧圏を旅行した際の体験や、神学部で出会う一風変わった友人たちなど、思想云々を抜きにしても面白く読める。学友の一人は、元暴走族という経歴で「霊的に満たされない」ため授業には出席しないなんてことが書かれていて、これもちょっとおかしかった。

著者の作品を全然読んでいないもしくは読んでも面白く感じられない人には、ちょっとオススメできないが、 佐藤優作品を何冊か読んでいて気に入っている人であれば、著者の青春時代を知ることができる本書は興味深く読める一冊だろうと思う。

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