ぽっぺん日記@karashi.org
2008-05-14(Wed) [長年日記]
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死者を起こせ (創元推理文庫)(フレッド ヴァルガス)
フランスの本格ミステリー・シリーズ第1弾が本書。
シリーズ第2弾の『論理を右手に』を献本して頂いたので、未読だった本書を発注して読了。
本書の主人公は歴史学者崩れの3人、マルク、マティアス、リュシアン。 3人とも失業中または希望の職に就けずアルバイトの身の上だ。 それぞれの専攻が中世、先史時代、第一次世界大戦で、互いに自分の専門分野こそ素晴しいと考えているがなぜかウマが合い、パリ市内のボロボロの屋敷の家賃を折半して、元刑事のマルクの伯父を加えた4人で共同生活を営むことなった。 ある日、そんな3人+1人の元を隣家の元オペラ歌手の夫人が尋ねてくる。 自宅の庭に、知らぬ間にブナの若木が植えられていたというのだ。 不気味に思った彼女は夫に相談するものの大したことと思わず感心を示そうとしない。 仕方なく、彼女は隣人に相談をすることにしたのだ。 マルクの伯父の勧め(と夫人が提示した手間賃)もあり、3人は木の下を掘ることに──。
フランス人の馴染みのない名前と、冗長な文体(元からそうなのか訳のせいなのかは不明だが)に「なんだか読みづらいなぁー」となかなかペースが上がらなかったのだが、それも事件発生前の導入部まで。 事件が起きてからは、2転3転する容疑者と、どこに着地するか分からないストーリー展開にぐいぐい引っ張られて一気読み。
いやー、これはオススメできる傑作ミステリーですよ。
ストーリーをぐっと引き立ていると同時に適度なユルさを与えているのが、キャラ立ちしまくった主人公3人組。
マルクは黒づくめでキレやすい離婚歴のある男で、マティアスはなぜか全裸で生活することが好きなワイルドかつ寡黙な男。
極めつけが、第一次世界大戦絡みの資料を見付けると、事件そっちのけでそちらに熱中してしまう男、リュシアン。 いったん燃え上がってしまうと人の話を聞かず、自己主張ばかり大声で話すという軍事オタクぶりに、オタクの気質に東西の違いはないんだなぁと変な感心をさせて貰った。
そんな3人に、深謀遠慮を巡らすマルクの伯父にしてクビになった元刑事のヴァンドスレールが加わって事件を解決すべく奔走する、というのが本書の骨子。
原著は英訳されて2006年にダンカン・ローリー・インターナショナル・ダガー賞を受賞したとのこと。 邦訳は2002年に刊行されているので欧米より紹介が4年も先んじていた訳だ。 日本の出版業界もなかなかやるじゃないかと思ったのは、たぶん、オレだけではないはず。
ちなみに、夕飯のために店から野うさぎのパイやエビ盗んできて、みんなでしれっと食べてしまったりして「なんというか、ラテン系っていうのはスゴイね」と、文化の違いも感じさせられる一冊でもある。 そういえば、本書のパリは全然、オサレじゃないですなー。
つづけて第2弾も読みますよ。
_ 明日はYAPC::Asia 2008
今日の前夜祭は残念ながら出られなかったんだけども、明日はフルに参加できる予定(明後日はまだ未定)。
明日は、寝床で積ん読になっているラクダ本を持って行こうかと思ったんだけど、さすがに重すぎるので諦めた。
行き帰りの読書は、黒ヒョウ本だと、ちとオレには早すぎるような気がするので、『続・初めてのPerl』に変更した。
明日は早いので、今日は早寝する。


まで頂ければ幸いです。
観音浄土に船出した人びと―熊野と補陀落渡海 (歴史文化ライブラリー 250)(根井 浄)