ぽっぺん日記@karashi.org
2008-05-27(Tue) [長年日記]
_ 電車の中で読む時には注意!──
ねにもつタイプ(岸本 佐知子)
翻訳家を営む著者によるちょっとかなり変わったエッセイ集が本書。
著者の岸本佐和子といえば、ニコルソン・ベイカーの『もしもし』、『フェルマータ』(どっちもエロいよ!)のような変わった雰囲気の作品を訳すことで印象に残っているが、こんなに笑える文章を書く人だとは思わなかった。
通勤電車の中で読んだのだが、もう吹き出すのをこらえるのに必死。 読むのを中断すればいいことなのだが、ページを繰るのを止めさせない魅力があって、ずっとニヤけた締まりのない顔で読了した。 たぶん、通勤客の何人かには気持ち悪がられたに違いない。
「笑える」と書いたが、やはり翻訳を生業とするだけあって、文章も非常にうまい上に芸達者。
自分の頭の中の小部屋のエッセイ「奥の小部屋」では
- 狭い歩道で無理矢理に追い越しをかける自転車の男
- 男を斬鉄剣(!)で斬り付ける
- グロ描写
- 料理番組
なんていう話が一緒くた、かつシームレスに展開されてしまうし、自宅に潜む「敵」との死闘を描いた「戦記」では、ちょっとした軍事オタク(オレのことだ!)も唸ってしまう「それっぽさ」のある戦記そのものになっている。
その他、コアラの鼻に思いをはせた「Don't Dream」や小学館の「学習図鑑シリーズ」の『魚貝の図鑑』の奇妙な説明書きをネタにした「黄色い間の中」など、思わず吹いてしまうエッセイが満載なのだが、その中でも特に印象に残ったのが、
新宿から遠く箱根の方まで延びている0線(p.81)
の窓から見えるS駅近くの風景について書いている「かげもかたちも」。
- 誰もいないボクシング・ジム
- 「ナイフとフォームを持った子豚が、嬉しそうに踊りながらよだれを垂らしている」(p.82)どこか間違っているとんかつ屋の看板
- 〈波平レディスクリニック〉という看板
など、実家がO線沿線で、S駅近くの高校に電車通学していたオレは 「そうそうそう」と首がもげんばかりに頷きたくなった。*1
笑えること必至のエッセイ集なので、爆笑したい人はぜひ。
ただし、電車の中では注意。 笑いを耐えるのが大変ですよ。
もしもし (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
白水社
¥ 914
フェルマータ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
白水社
¥ 1,155
*1 ちなみに、0線は小田急線のこと。S駅は相模大野駅。



まで頂ければ幸いです。
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