ぽっぺん日記@karashi.org
2008-06-08(Sun) [長年日記]
_ 米国発・医療版『地球の歩き方』──メディカルツーリズム(ジョセフ・ウッドマン)
医療版『地球の歩き方』(ただし、米国人向け)とでも言えるのが本書。
本書で扱われるメディカルツーリズムとは、
- 費用の節約
- 質の高いケア
- 保険でカバーされない治療
- 特殊な治療
などを求めて国境を越え海外で治療を受けることをいう。
日本ではあまり浸透していない言葉だが、米国では治療の選択肢のひとつとして認知されつつあるようだ。 ただ、これまでメディカルツーリズムをもてはやすメディアやblogがある一方、そのいかがわさしや危険性を指摘するメディアやblogもあるという状況が続いており、その評価は揺れている。
本書は「メディカルツーリズム」という言葉から連想される「レジャー」面を排し、純粋に医療面に焦点を当て、メディカルツーリズムが取り得る治療の選択肢であることを伝えるとともに、
ずっと安上がりで、合法的かつ安全に海外で治療する方法(p.12)
を伝授し、読者を「かしこい患者」へとアップグレードさせるためのガイドブックだ。
本書は3つのパートから構成されている。
まず、パート1「かしこいメディカルツーリストになるために」では、大はメディカルツーリストになる心構えからはじまり、信頼できる病院や医師、代理店の見分け方、かかる費用の算定、小は飛行機のチケットの取り方から持ち物、現地でのインターネット接続方法までと、まさに「微に入り細を穿つ」といった解説がされている。
つづくパート2「メディカルツーリストがよく訪れる地域」では、世界各地のメディカルツーが行なわれている医療機関がどんな治療を行なっているか、JCI(米国医療施設認定合同委員会国際部)の認証は受けているかといった情報が、言語やタイムゾーンといった基本情報とともに紹介されている。
リストに国家事業としてメディカルツアーを行なっているキューバ(『世界がキューバ医療を手本にするわけ』(吉田 太郎)を参照のこと)が入っていないのだが、米国と国交がないせいなのか、それほど高度な医療技術を持っているとは評価されていないのか、少し気になるところだ。
そして最後のパート3「情報源と参考資料」では情報源となるWebサイトや医療用語解説がされている。
ガイドブックとして非常によく出来ている本書であるが、問題は米国人向けに書かれているという点だ。 これが本書を
(ただし、米国人向け)
と表現した理由。
日本語訳版独自の補遺でも追加されていれば、こんなことを書く必要はなかったのだが、残念ながら本書はあくまでも原著を翻訳しただけで、日本人向けの情報が一切含まれていない。 現在のところ、メディカルツーリズムについて書かれた日本語の書籍が皆無な状況なので、本書の価値が非常に大きいことは認めるが、ガイドブックとしてはかなり実用度が下がるといわざるをえないというのが正直な感想だ。
パート2「メディカルツーリストがよく訪れる地域」で紹介されている病院のリストに「日本語が通じるか」という項目を追加する、または日本語が使えるメディカルツアー代理店を付け加えるだけでもだいぶ違ったと思うのだが。
日本人向けのメディカルツーリズムについてググってみたところ、アジア諸国で盛んになりつつあるようだ。
たとえば、本書でも紹介されているタイ・バンコクのバムルンラード国際病院は日本語のWebサイトを用意しているし(ただし、まだ翻訳中のページもある)し、台湾も
対外貿易発展協会は、「今後3年以内に、医療や美容目的で台湾を訪れる人の目標を年間10万人とする」と意気込む。台湾は特に日本人観光客の人気が高く、年間約116万人が訪れることから、当協会では今後、日本語に対応したホームページの作成や日本語のメールでの問い合わせ先を設けるなどしてPRに努め、医療や美容目的の日本人観光客の獲得をめざすとしている。
[【レポート】激化するアジアの医療事情 - 「メディカルツーリズム」市場に台湾が参入 | ライフ | マイコミジャーナルより引用]
というように力を入れている。
日本と米国の医療制度を比較した場合、一番大きな違いが国民皆健康保険制度の有無だろう。 個人的には給与明細の健康保険料負担の額を見る度に「高いなぁ」と思わず溜め息を吐きそうになるが、米国の次のような莫大な医療費と比較すれば安いものである。
カリフォルニア州サンタアナに住んでいるマーガレットさんは、抜歯1本、インプラント2ヶ所、歯冠2ヶ所で6600ドルかかると言われた。(p.14)
1ドル=100円としても、日本ではこの額の1/3程度の医療費で済むだろう(物価の違いを考えれば、その差はさらに開くはずだ)。
そう考えれば、
(1)国内では医療費が高い臓器移植を割安で受けられる、(2)国内未承認の新薬が使える、(3)美容整形などの保険外診療の費用が安く抑えられるなど
[【レポート】激化するアジアの医療事情 - 「メディカルツーリズム」市場に台湾が参入 | ライフ | マイコミジャーナルより引用]
といった一部のメリットを除けば、いくら海外の方が医療費が安いといっても、渡航費や滞在費、さらに海外で治療を受けるという潜在的なリスクが必要となるメディカルツーリズムの利点はあまりないように思える。
ただ、医療費が増加にともない国民健康保険の財政が圧迫されていることや、過酷な労働条件や訴訟の増加のため医療の現場を去る医師が増えていることなどから、日本の医療は崩壊の一歩手前だとも指摘されている。 もちろん、そのような状況に陥らないのが最善なのだが、メディカルツーリズムが選択肢のひとつとなる時代が訪れることも大いに考えられる。
そのような時代に備えるためにも、次回は日本人向けのメディカルツアー・ガイドブックが出版されることを期待したい。
そんな訳で日本人のためのガイドブックとしては少々物足りない面もなくはないが、メディカルツーリズムの概念を知りたい人、またメディカルツーリズムを検討している人にとっては大いなる一助となる書だといえるだろう。
- 斉尾武郎
- 医薬経済社
- 2940円
書評/健康・医学
_ Net::Whois::Rawをacドメインに対応させるpatchを書いた
whois.nic.acが、availableかNot availableしか返さないというダサい仕様なので、webからwhoisを引っ張ってくる Net-Whois-Raw-1.52 用のpatchを書いてみた。
http://www.karashi.org/files/Net-Whois-Raw-1.52.diff
慣れないPerlいじりをやって今日は疲れたので、明日にでもPerlハッカーの人にircでこれでOKなのか聞いてみる。 < TODO




まで頂ければ幸いです。
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