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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-07-18(Fri) [長年日記]

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_ 激流に魅せられた人々の姿を活写する──彼らの激流(大村 嘉正)

築地書館様より本が好き!経由で献本御礼。

自宅のすぐ近く、3分くらいのところに川が流れている。 まぁ、田舎だということなのだが、いちおう県内有数の清流らしいで、人によってはずいぶん羨ましがれる環境ではないかと思う(まぁ、住んでみると、それなりの苦労もある訳だが)。 ただ、いつでも行けると思うと、ついつい足が遠のいてしまい、今年になってからも数えるほどしか行っていなかったりする。

本書が描き出すのは、そんな私とは正反対に川の魅力に取り憑かれた人たちだ。


彼らの激流

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書評/ルポルタージュ
四国・吉野川中流域にある峡谷「大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)」──1975年に峡谷の上流にダムが完成した後、かつて四万十川よりもきれいだといわれた清流は失われた。 あとに残されたのは激流だけだったのである。 しかし、その激流に目をつけたのがカヤック愛好者たちだ。 シーズンになると、峡谷は性別や国籍問わず激流カヤック愛好者たちが集う地となる。 そんな愛好家たちの中で、カヤック好きが高じてこの地に移住しリバーガイドとして生きる若者──著者が「川の人」たちと呼ぶ彼らが本書の主人公だ。

本書の魅力はなんといっても、大自然の中、様々なテクニックを駆使しつつパドル1本で激流を下っていく川の人たちの姿だろう。 様々なバックグラウンドを持つ彼らが煮えたぎるような水面を越えてゆく様子には純粋なあこがれを感じさせる。 また、白黒なのが多少残念だが、その格闘の様子を活写した掲載写真もいい。

峡谷は過疎化が進んだ集落ではあるが、やはりそこも人が住む地。 自由な気風を大事にする川の人は、半ば強要されるその濃密な付き合いに戸惑い、また彼らの行動に眉をひそめる住民たちも少なくない。 さらに、釣り師たちとの川の通行時間を巡るゴタゴタや、収入の不安定さなど、決して楽しいことばかりではないことをきちんと書いているところには好感が持てる。

著者もカヤック愛好家なため、その視点は完全に川の人寄りだ。 都会とはいえないまでも、ベッドタウンと称してもいい場所から今の田舎に引っ越してきた身としては、川の人たちの気持ちは分かる。 私も最初はずいぶん困惑したものだ。 その一方で、この田舎に居を構えてそれなりに時間を過ごした立場からいえば、昔からの住民たちが小言を言いたくなる気持ちも分からないでもない(笑)。 やはり、自分たちが長年続けてきたものとは全然違う存在を受け入れるというのは、それなりの度量と覚悟が必要とされるものなのだ。

とはいえ、峡谷に限らず、人口の半数以上が65歳以上の高齢者となり、手をこまねいていては消滅することが運命づけられた「限界集落」は全国に多数ある。 集落として、川の人たちのような若者を受け入れることによって活路を見出していくというのもひとつの道であろうと思う。

行間から透けてみえる「オレたちは普通の人よりも濃密に生きているぜ」という強烈な自負心には少々鼻白む箇所もあるが(もちろん、そのような自負がなければ本書を書こうとは思わなかっただろうが)、読後、川に行きたくなること間違いなしの一冊だ。

本書の最後にはリバーカヤックをはじめるためのガイドが付されている。 わずか10ページ強の分量なので実用的かといえば、ちょっと疑問だが、入口としては妥当なところだろう。 個人的には、カヤックが結構なお値段なのでちょっと驚いてしまった。

カヤックには手が届かないが、今度の連休には久しぶりに川に行ってみようかと思う。 歩いて3分だけど。

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