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2008-07-19(Sat) [長年日記]
_ 日本人の死生観を表す補陀落渡海船──
観音浄土に船出した人びと―熊野と補陀落渡海 (歴史文化ライブラリー 250)(根井 浄)
「本の雑誌」2008年7月号でエンタメノンフ作家、宮田珠己氏が紹介して面白そうなので読んでみた本。 棺桶型の船に乗り、観音浄土を目指して船出した人々を描いた一冊だ。
手に取る前に想像していたよりもアカデミックな内容で、エンタメ度に欠ける嫌いはあるが、なかなか興味深く読めた (僧侶や寺の名前の前提知識がないため、少々読むのに骨が折れたが)。
観音浄土に行くための志願者たちが乗り込んだ補陀落渡海船(補陀落渡とは海の向こうにあると考えられていた観音浄土のこと)は
中央に大きな帆を立てた屋形船であり、その周囲には四つの鳥居と卒塔婆で組まれた忌垣があった(p.212)
という、なんだかコミックかアニメにでも出てきそうなデザインの船だったりする。
この補陀落渡海船は複数人が乗れる大型のものだが、さらに始めに書いたような棺桶型のひとり乗りの船もあり、そのようなタイプの補陀落渡海船は志願者が乗り込んだあと出入口を釘で打って塞いでしまったそうである。
そう考えると、志願者たちは本当に観音浄土に行こうとしたのか、それとも自殺のようなものだったのか判然としないが、これも生も死も表裏一体と考える日本人の死生観の表れといえるのかもしれない。
当然のことながら、志願者たちのほとんどは大海原に消えたそうであるが、一部は沖縄などに漂着し、寺の再建に携わった等の活躍をし後世に名を残したそうである。
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