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ぽっぺん日記@karashi.org


2008-07-29(Tue) [長年日記]

_ 看板に偽りありだが、イラク情勢を分かるための好著──イラクは食べる―革命と日常の風景 (岩波新書 新赤版 1125)(酒井 啓子) イラクは食べる―革命と日常の風景 (岩波新書 新赤版 1125)(酒井 啓子)

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米英軍の力によって「解放」されたイラクでは,イスラーム勢力が力を伸ばし,政治権力を握る一方で,イラク人どうしが暴力で対立しあう状況が生まれた.だが,どんなに苛酷な環境にあっても,人びとは食べ続ける.シーア派・スンナ派・クルド人,そして駐留外国軍の現在を,土地に根付いた料理や食卓の風景とともに描き出す.

[イラクは食べるより引用]

なんてことが書いてあるから、イラク料理を中心に持ってきた内容かと思いきや、イラク料理は完全におまけ的な扱いで、主題はイラク情勢を語ること。 そういう意味では、看板に偽りありの一作だ。

とはいえ、宗派間対立に、部族間対立が混じり合い、そこに周辺各国の思惑が加えられた末に、現在のイラクの混迷があることがよく分かる内容となっている。 料理については期待せず、純粋にイラク情勢について知るために読む本だろう。

陸上自衛隊のイラク派遣についても一章割かれている。

著者はこのイラク派遣についてはあまり評価しない態度のようだ。 個人的には政治的な制約が多い中、それなりによくやったと評したいのは山々ではあるのだが、確かに「何を達成したのか」と問われれば、答えに窮してしまう面はある。 ただ、著者は自衛隊のイスラーム世界への対応が言ってみれば教科書的に過ぎたという批判しているが、少なくともその教科書的な理解さえしなかった米軍よりは「マシ」だったといえるのではないだろうか。 もちろん、100点満点などというつもりはないが。

著者の本書での論調は米軍は撤退すべきものだというように読める。 状況さえ許せば、米軍が撤退することには個人的には賛成だ。 だが、現在のイラクの国内事情は米軍が撤退をしていい状況には見えない。 米軍が撤退すれば、さらなる混乱の中にイラクが沈むことは必至だろう。

いまだ先の見えない闇の中にイラクはある。

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