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2008-11-24(Mon) [長年日記]
_ 〈ナンシー・ドルー〉シリーズ第四弾は、なんとバカミスだ!──
ライラック・ホテルの怪事件 (創元推理文庫 M キ 5-4 ナンシー・ドルーミステリ 4)(キャロリン・キーン/渡辺 庸子)
少女探偵ナンシー・ドルーが活躍する〈ナンシー・ドルー・ミステリー〉シリーズ第四弾が本書。
これまでのシリーズとは一味違う味付けがしてあって、「それなりに本格ミステリーになっているじゃん」などと思っていたら、結末で一気にバカ・ミステリーに変身してしまうという怪作だ。
ナンシーとヘレンは、友人エミリーとその婚約者がオープンする〈ライラック・ホテル〉に招待された。 だが、ホテルでは、幽霊騒ぎやシンボルであるライラックの盗難など怪しい出来事が頻発していた。 オープン前に悪い噂が立つことに心を悩ませていたエミリーを助けるため、ナンシーは怪事の裏で糸を引く犯人を突き止めることを決意する。 しかし、そんなナンシーに、彼女の留守宅に泥棒が入ったことが知らされる。 さらには彼女の偽物まで出没しているらしい。 いったいなにが起きているのか? 捜査を進めるナンシーに魔の手が伸びる──。
2ページ目にして、ナンシーの偽物がいることが示唆される超スピード展開は健在だが、シリーズ既刊に共通の巻き込まれ型のストーリーではなく、本作ではナンシー自身の命が狙われる事態となっていて、なかなかスリリングだ(もちろん、児童向けなので程度差ではあるが)。
さらに、これまでのシリーズに共通の、第一印象が悪い人はやっぱり悪人という単純明快なキャラクター設定は本作には見られず、犯人どころかその目的が分からないという点も本格ミステリーぽい。
……なのであるが、ラスト40ページから、いきなりバカミスになってしまい、唖然とさせられる。 ○○○なんて、どこで買うんだ? ○○を起こす装置ってなに? そんな明○小○郎やル○ン○世じゃないんだから、その○○はスゴすぎだろう? っつーか、爆破したら嫌がらせどころか普通死ぬよ? と超絶ネタに悶絶。
これって、もしかしてバカミスというジャンルがあることをミステリー初心者の児童に教えてくれている……わけじゃないよなぁ。
ネガティブなことばかり書いたので、ポジティブなことも少し。
前作『バンガローの事件』では、原書執筆時の1930年には実用化されていなかったはずのヘリコプターがセリフにちょろっと登場するが、本作でも当時実用化されていなかったはずのテクノロジー(ちょっとネタバレになるので一応名前は伏せておく)が登場する。 その理由はクレジットには書かれていないが、最初の版が書かれた後、時代に沿って内容を改訂されてきているせいなのだろうと思う。 そういった細かな努力が、ナンシー・ドルーがいまだに読み継がれる息の長いシリーズになっている理由なのだろう。
ちなみに、本書の解説はSF作家の菅浩江さんなので、菅ファンはなかなか嬉しいかも。
- 渡辺 庸子
- 東京創元社
- 735円
書評/ミステリ・サスペンス


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